10:無常因果的終結(終末)

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 地面が轟き、鳴動する。  激しく、強く。  それまで立っていたはずなのに、いまは必死で転ばぬように耐えるしかない。 「あ……れ……?」  誰かが膝から崩れ落ちた。足がいうことをきかないのか、両腕で倒れぬように支えている。  あれよという間に次々と各門派の門弟たちが足元から崩れ落ち、膝をつく。 「ど、どうしたんだ?」 「おかしい……!? どうなってるんだ!?」 「分からない……でも、体に力が入らないんだ!」  先ほどまでの敵味方関係なく、その場にいる者たちがみな同様の症状だ。辛うじて腕で支えていた者も、腕にすら力を入れることができなくなってその場に倒れ伏してゆく。 「これは……瞋九龍(チェンジューロン)! お前、何をした!?」  体の中を流れる翳炎(えいえん)から異変を感じ取り、煬鳳(ヤンフォン)瞋九龍(チェンジューロン)に叫んだ。 「何をしたもなにも。お前たちは儂が懇切丁寧に全てのことを話してやったのは、単なる暇つぶしだとでも思ったか? なぜ儂が、残った門派を引き連れて火口までやってきたと? そして、お前たちよりも先に着いていたにもかかわらず――わざわざお前たちのことを待ってやったと思っているのだ?」  五行盟(ごぎょうめい)の盟主とも思えぬ下卑た笑いを瞋九龍(チェンジューロン)は浮かべる。そんな彼の笑いは、圧倒的な龍というよりは、小者の見せる表情に近い。 「それもこれも……全てはより多くの人間の命を吸収するためだ!」
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