10:無常因果的終結(終末)

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 鉄鉱力士(てっこうりきし)の巨体を瞋九龍(チェンジューロン)が投げ飛ばす。強靭な鉄鉱力士(てっこうりきし)を一撃で破壊することはできなかったが、炎の力が満ちる黒炎山(こくえんざん)の山頂では、いかに強力な宝器といえど瞋九龍(チェンジューロン)のほうが有利なようだ。 「彩鉱門(さいこうもん)は本当に目障りな奴らだ。隠れてこそこそしているかと思えば、図々しくもこのような厄介な宝器を作り出す。やはり彩鉱門(さいこうもん)清林峰(せいりんほう)のように完全に滅ぼすしかないようだな?」  ギロリと睨んだ瞋九龍(チェンジューロン)の目が黄金色に輝く。紛れもない龍の力を宿す瞳の輝きに、普段は何者も恐れぬ彩藍方(ツァイランファン)も尻もちをついたまま後退る。  一歩、また一歩。  瞋九龍(チェンジューロン)がじわじわと歩み寄る。  敢えて勿体つけているのは、見ている者たちを恐れさせるためだ。  思うように動けない悔しさからか、彩藍方(ツァイランファン)の舌打ちが微かに届く。二人との距離は既にかなり縮まっていて、恐らく瞋九龍(チェンジューロン)彩藍方(ツァイランファン)を見せしめに皆の前で殺すつもりなのだと煬鳳(ヤンフォン)は直感した。 (くそっ……こうなったら……)  煬鳳(ヤンフォン)は両手を地面につけると、火山を流れる翳炎(えいえん)の力を探り始める。
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