10:無常因果的終結(終末)

55/64
前へ
/1358ページ
次へ
 煬鳳(ヤンフォン)の叫びとほぼ同刻に、雷靂飛(レイリーフェイ)の背後から目も眩むような電光が迸る。追撃をかける瞋九龍(チェンジューロン)の一撃を雷靂飛(レイリーフェイ)の背後にいる人物が打ち返したのだ。 「(ヤン)掌門(しょうもん)!」 「げっ、雷閃候(レイシャンホウ)!」  雷靂飛(レイリーフェイ)の窮地を救ったのは霆雷門(ていらいもん)掌門(しょうもん)である雷閃候(レイシャンホウ)だ。彼が瞋九龍(チェンジューロン)に奪われた力もほぼ戻ったようで、先ほどほど放った電光は、かつて煬鳳(ヤンフォン)が見た彼の全力の一撃とほぼ同じ輝きだったように思う。 「(ヤン)掌門(しょうもん)! 貴様は手出しする必要はない。ここは我々に任せろ!」  普段からごろつきだのなんだのと言われ、五行盟(ごぎょうめい)を知らぬ頃に出会った雷閃候(レイシャンホウ)の印象も最悪だった。それなのに、ここにきて頼もしいことを言われるとどうにも照れる。  言葉にしたらなんだか笑ってしまいそうで、煬鳳(ヤンフォン)雷閃候(レイシャンホウ)に向けて頷くことで返事を返した。  瞋九龍(チェンジューロン)の猛攻を雷閃候(レイシャンホウ)凰黎(ホワンリィ)の二人が応戦する。瞋九龍(チェンジューロン)は動きも攻撃も人間離れしており、勝ち目など無いと思っていたのだが、意外にも二人は善戦しているようだ。 (多分、瞋九龍(チェンジューロン)のほうが体を上手く使いこなしていないんだ……)
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加