10:無常因果的終結(終末)

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 振り返れば、静泰還(ジンタイハイ)を支える黒曜(ヘイヨウ)凰黎(ホワンリィ)の姿。そしてその周りには彼の神侯(シェンホウ)が淡い燐光(りんこう)を放ち緩やかに軌跡を描いている。瞋九龍(チェンジューロン)の最期を見届けた凰黎(ホワンリィ)神侯(シェンホウ)を収め、ゆっくりと静泰還(ジンタイハイ)を立ち上がらせた。 「……そなたに、私の妻子の仇を取らせてしまったな」  満身創痍の静泰還(ジンタイハイ)は、凰黎(ホワンリィ)に支えられ辛うじて立っている。しかしそれでも彼の瞳は瞋九龍(チェンジューロン)の首から目を離すことはなく、ようやく達成した長年の想いを遂げ、様々な想いがこみ上げているようだ。 「私は……いえ。私にとって、嶺主(りょうしゅ)様はもう一人の家族です。家族の仇なのですから、当然のことをしたまでです」  凰黎(ホワンリィ)は何と言おうか迷ったようだったが、それでも彼は静泰還(ジンタイハイ)のことを『家族』だと言った。  そんな凰黎(ホワンリィ)の言葉に静泰還(ジンタイハイ)は目を丸くして、そして凰黎(ホワンリィ)を抱きしめる。 「家族か……。そうであったな。そなたも、私にとって大切な家族。……悲しみすぎて、私はいままで大切なものが見えていなかった。許しておくれ、阿黎(アーリィ)」 「許すもなにも……。私は昔もいまも変わらず、貴方の家族なのですから」  涙混じりに聞こえる凰黎(ホワンリィ)の声。  煬鳳(ヤンフォン)は二人の抱擁を、多幸感に包まれながら見守っていた。 (良かったな、凰黎(ホワンリィ)……)
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