11:然后鳳凰抱鳳雛(そして鳳凰は鳳雛を抱く)

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「た、大変です。至急……嶺主(りょうしゅ)様や鸞快子(らんかいし)様にお伝えしたいことが……!」 「いったいどうしたというのだ?」  先ほどより回復した静泰還(ジンタイハイ)が、門弟に歩み寄る。蓬静嶺(ほうせいりょう)の門弟は、静泰還(ジンタイハイ)がやってきたことに気づくと慌てて居住まいを正し、拝礼しようと試みた。 「いや、挨拶は不要だ。用件を先に言いなさい」 「はっ、はい……! それが、恒凰宮(こうおうきゅう)より至急の連絡が入り、原始の谷に押しかけた各門派が一斉に詰めかけたそうです」  まさか、と煬鳳(ヤンフォン)は彼の発言を疑った。  凰神偉(ホワンシェンウェイ)が行っていることも、翳黒明(イーヘイミン)が共にいることも、そして何より小黄(シャオホワン)のために彼らが連れ立って原始の谷に行ったのだ。そして彼らが先を急いだ理由、それは原始の谷へ続く道の封印が解けてしまったことで、他の門派が詰めかけることを予想していたからでもある。  つまり、門派が押しかけるところまでは承知のうえであって既に煬鳳(ヤンフォン)たちにもそれは伝えてあり、わざわざ連絡することではないはずだ。  ならばなぜ、と考える。 「そして原始の谷の封印が解かれたことにより、他門派のものたちは万晶鉱(ばんしょうこう)を見つけ出したとのこと」 「なんだって!?」  煬鳳(ヤンフォン)は動揺のあまり大きな声で叫んでしまった。
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