11:然后鳳凰抱鳳雛(そして鳳凰は鳳雛を抱く)

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 周囲を見回せば、まるで鏡のような岩があたり一面を埋め尽くしている。どの岩も磨かれた鏡のように壁一面を埋め尽くす自身を映し出し、眩いほどに瞬いているのだ。  まさか、本当に鏡なのか?  そんなことを思いながら煬鳳(ヤンフォン)は壁から突き出した結晶のようなものに触れようとした。 「止めるんだ! 触れてはいけない!」  叫ぶ声に驚いて手を止め、煬鳳(ヤンフォン)は声の主に振り返る。いつの間にか洞窟の中には多数の門派の面々がいて、興味津々の顔で銀色の鉱石を凝視している。 (あれは……?)  声の主は凰神偉(ホワンシェンウェイ)だった。彼は門派の面々を必死で宥め、なんとか止めようとしているのだ。 「万晶鉱(ばんしょうこう)は容易に触れて良いものではない。人の身で扱うならば、相応の技術が必要なのだ! 悪いことは言わない。その手をどけて、万晶鉱(ばんしょうこう)に触れるのは止しなさい」  凰神偉(ホワンシェンウェイ)は横柄な門派の長老や掌門(しょうもん)たちに対して、必死で万晶鉱(ばんしょうこう)の危険性を解いている。煬鳳(ヤンフォン)はなぜ彼らがそこまで万晶鉱(ばんしょうこう)を危険視するかという理由をよく知っているが、彼らは何も知らないのだ。 (待てよ? ってことは……ここは原始の谷なのか? この中のきらきらした鉱石は、もしかして万晶鉱(ばんしょうこう)!?)
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