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入念に計画したはずの翳冥宮の一件があっさりと崩れてしまったことをよほど根に持っていたようだ。
閑白はなおも怒りを翳黒明にぶつける。
「それだけじゃない、魔界でもお前は私の計画を邪魔したな。それはお前だけじゃない、お前ら全員だが……視界に入るだけで邪魔なんだよ!」
そう言うと、閑白はふと怒りの表情を消し去って不敵に笑う。それまで動かなかった翳冥宮の人々が、じわりと煬鳳たちに距離を詰めてきているのだ。
「ど、どうすりゃいいんだ。この人たちともう一度戦うのか……?」
『クエェ……』
黒曜の悲しげな声が響く。
煬鳳は黒曜の記憶を通して彼らになにが起こったのかをある程度は見ている。だからこそ、可能ならばここで死んだ翳冥宮の人たちに刃を向けることはしたくない。
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