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「見間違うな!」
毅然と煬鳳たちに叫ぶ声。
それは凰神偉だ。
「閑白の使う術は、確かに良くできてはいるが、単に姿形を写し取り、仮初めの肉体を与えているに過ぎない。いわば見た目だけそっくりの紙傀儡だ!」
「紙傀儡だって!?」
煬鳳は驚いて声をあげ、そして翳冥宮の人々――の偽物を見る。
初めは確かに閑白の羽が紙片へと変わり、そして人の姿に変わったはずだが、こうして見ても彼らは紙傀儡であるなんて、とても思うことはできない。
「そういえば……。以前、閑白が魔界で自分の分身を作り出した術も、魔界の皇帝すら見破ることができないほど、精巧な紙傀儡でしたね」
しかし凰黎の言葉で、そんなこともあったと思い出す。
閑白が作り出した紙でできた己の分身は、魔界の皇帝すら騙すことができたのだ。それほどの効力であるならば、目の前の彼らが紙であってもなんらおかしいことはない。
「で、でも、この人たちが紙傀儡としても、魂魄は本物なんじゃないか?」
躊躇いがちに凰神偉に言った煬鳳だったが、凰神偉は動じる様子もなく煬鳳を一瞥する。なぜか煬鳳は余計なことを言ったように感じ、気まずさを感じてしまう。
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