07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

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「本当にこの場所に翳冥宮(えいめいきゅう)の人々の魂魄があるのなら、ここまで激しく閑白(シャンバイ)は怒り散らしたりしないだろう。本来であれば今に至るまでの間にもっと彼らの魂魄を利用していたはずで、出来なくなったからこそ小宮主(ぐうしゅ)に怒りを向けたのだ。先ほども言ったが、あの術は姿形を写し取っただけの、存在しないものを、さも存在するかのように作り出す。実体を持った幻術のようなものであり、そこに当人の意志も魂魄も必要としない」  涼しい顔で凰黎(ホワンリィ)と会話を続ける凰神偉(ホワンシェンウェイ)に、閑白(シャンバイ)が顔を真っ赤にして怒り散らす。 「おのれ恒凰宮(こうおうきゅう)宮主(ぐうしゅ)! 余計なことを!」  閑白(シャンバイ)が袖を振れば、紙傀儡(かみくぐつ)たちが凰神偉(ホワンシェンウェイ)に襲い掛かる。凰黎(ホワンリィ)と同じ色の淡い燐光(りんこう)凰神偉(ホワンシェンウェイ)が纏えば幾多の光の剣が降り注ぎ、紙傀儡(かみくぐつ)たちを縫い留めた。 「万物の(ことわり)に於いて、紙は人に(あら)ざれば、幻もまた真実に(あら)ず。(すなわ)ち紙人は紙に、幻は無に。――天地の常経(じょうけい)に従いて、急々として太上の勅命が如くせよ。……消え去れ!」  凰神偉(ホワンシェンウェイ)の声に呼応するかのように、淡い光に包まれた紙傀儡(かみくぐつ)は次々に人の姿を失い、元の紙へと還ってゆく。  ――まるで、元からそこには何も存在しなかったかのように。
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