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煬鳳には凰黎の気持ちが痛いほど分かったが、それでも凰黎の手を引いて、
「駄目だ、いまは兄貴の言葉に従おう」
と、訴えた。
凰神偉は次なる攻撃をはじき返すと閑白に向かって言い放つ。
「答えろ。なぜ翳冥宮を乗っ取ろうとした? 恒凰宮ではなく、なぜ翳冥宮だった?」
辛うじて持ちこたえてはいるが、それでも凰神偉は閑白の攻撃を防ぐのでやっとの様子。やはり仙界の者である閑白と一対一でやりあうことは、宮主である彼ですら困難を極めるのだろう。
「決まってる、翳冥宮のほうが簡単だったからだ! 恒凰宮の内側に入り込むのは難しいが翳冥宮は恒凰宮よりは容易い。双宮どちらかが無くなれば原始の谷を開くことは永遠にできなくなる、そうだろう?」
「お前は、それだけのために!?」
「それだけじゃないさ!」
閑白が叫ぶ。
「ついでに魔界に恩を売ってやりゃ、魔界も私たちを無碍にはできなくなるだろう?」
「随分とまあ……俗世に染まった考えだな。呆れたものだ!」
「地べたを這いつくばってる奴に言われる筋合いはない!」
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