07: 海誓山盟明和暗(不変の誓い)

125/161

109人が本棚に入れています
本棚に追加
/1358ページ
 閑白(シャンバイ)凰神偉(ホワンシェンウェイ)を蹴り飛ばす。あっと凰黎(ホワンリィ)が叫んだ瞬間に、馬乗りになった閑白(シャンバイ)の持つ刃が凰神偉(ホワンシェンウェイ)の頭上に振り下ろされた。 「兄上ーーーーっ!」  叫ぶ凰黎(ホワンリィ)の声とほぼ同時のことだ。  凰神偉(ホワンシェンウェイ)の上にいたはずの閑白(シャンバイ)が、広間の壁に飛んで行った。壁が脆かったのか、力が強かったのか、どちらかは分からない。しかし、閑白(シャンバイ)がぶつかった壁は音を立てて崩れ落ち、閑白(シャンバイ)の眼前にはゆっくりと立ち上がる翳黒明(イーヘイミン)の姿があった。 「小癪な……魂魄だけの存在の癖に!」  閑白(シャンバイ)翳黒明(イーヘイミン)を睨みつけ、翳黒明(イーヘイミン)は手に持った剣を静かに構える。  翳冥宮(えいめいきゅう)の復興を夢見たはずの彼ではあったが、間違いなくいまは――刺し違えてでも閑白(シャンバイ)を葬る気でいるようだ。先程まで震えていた剣先も、覚悟を決めたいまとなっては、水が打ったように静けさを取り戻している。  凰黎(ホワンリィ)煬鳳(ヤンフォン)はすぐさま凰神偉(ホワンシェンウェイ)を助け起こしに走ったが、助け起こされるなり凰神偉(ホワンシェンウェイ)は「私は平気だから、翳黒明(イーヘイミン)の力になってやれ」と言ってくる。 「そう言わないでくださいよ、兄上のことを心配しているんですよ、凰黎(ホワンリィ)は」  兄上、と呼ばれた凰神偉(ホワンシェンウェイ)の眉がぴくりと動いたが、
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加