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長い戦争が終わったとき、人々は疲れ切っていた。
傷を負い、心を病んだ兵士たちが帰る場所は、焦土とやつれた家族のもと。
それでも戻る家があれば奇跡であり幸運といえた。
空襲で焼けた村を棄て、逃げる間に親からはぐれたり置き去りにされた子どもたちは野犬のように眼ばかり光らせて、垢じみた膝小僧を抱いて路傍にうずくまり、弱い者から順に犠牲となっていった。
大人たちは誰もみなしごを気にかけたり、食べ物を分けてやることもできず、自分たちの今日の糧をかき集めるので精いっぱいだった。
今も、村はずれの小さな丘に建つ廃墟の隅で、餓えた姉弟が手をつないだまま、悲しい気持ちで横たわっていた。
二人はもうずいぶん長い間、何も食べていなかった。
空腹ももはや感じなかった。
骨と皮ばかりになった乾いた手をしっかりつないで、考えることは優しい両親への想いのみだった。
「ママに会いたいなぁ」
「いつパパは帰ってくるのかなぁ」
空に夕闇が降りると、ガラスも桟も吹き飛んだ素通しの窓からは星の瞬きがよく見えた。
あの空からきれいな天使様が私たちを迎えにくるのかしら。
姉はだんだん薄れてゆく意識の中で考えた。
「さあおいで、可愛い子どもたち」
二人は母のふくよかでいい匂いのする胸に抱きしめられ、父のごつい節くれだった手のひらに撫でられる幸せな夢を見ながら眠りに落ちた。
静かな秋の夜だった。
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