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「俺は……王子のノア様を助けるためです」
ノア……?確かネイサン国はクラーク家が治めているはずよね。ノア・クラークっていう王子なのね。すごくスタイリッシュな感じがして綺麗な名前。
「ノア様は数日前に謎の呪いによって倒れました。苦しむノア様を見ていられなくなり、俺は書庫で様々な文献を読み漁りました。すると、この森の最奥部に奇跡の花が咲いていると知りました。満月の夜にしか咲かない花で、花びらを飲ませれば、呪いが解けるらしいのです」
奇跡の花?それって……。
「だから俺がやって来たのです。しかしその道中、動物達に追いかけられて。ウサギのような動物に足首を噛まれてしまったんです。痛みはかなりのものでした」
「ウサギのような動物って……。それ、猛毒を持ってるのよ!早ければ数時間で死に至るわ。助けられて良かった……」
「レティシア様は、本当にお優しい方ですね」
「そんなことないよ」
って、そこじゃなくて!
「イーサン、残念だけどその奇跡の花って数年前に絶滅したのよ」
「えっ」
これは小さい頃から森で過ごした私しか知らない情報だろう。奇跡の花が咲く場所だって知ってたんだから。
「奇跡の花って、環境の変化にかなり弱いの。数年前に、数ヶ月雨が降り続いた時期があったでしょう?そのときに絶滅しちゃったの」
「そ、そんな……。じゃあどうすればノア様は助かるんだ……。これ以上苦しむノア様は見たくない」
「イーサン……」
「やはり、レティシア様にお願いするしかないですよね」
「私?」
「はい。レティシア様の聖女のチカラで、ノア様を救ってください!」
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