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「わ、私が……?」
「レティシア様なら、きっとノア様を救うことができます。どうかお願いできませんか?」
ノアを助けるってことは、ネイサン国に行けるってことよね。憧れの場所に行って、呪いを解くことができたら、ネイサン国で暮らすっていうのもいいかも。
この森には申し訳ないけど、ずっと憧れてたネイサン国に行けるチャンスなんじゃない?
それにノアのことも単純に気になるし。
行かない理由がないんじゃない?
「……わかった。私ができることを尽くしてみるわ」
「ネイサン国にいらしてくださるのですね!」
「ええ」
イーサンは立ち上がり、私に深くお辞儀をした。
「感謝致します」
「頭を上げて?そういうのあまり好きじゃないのよ」
私が苦笑いすると、イーサンは頭を上げて美しい顔で微笑んだ。
「レティシア様。屋敷まで送ります」
「え?」
「明日、ネイサン国から手紙が届くのでその手紙を持ってネイサン国にいらしてください。俺達が精一杯のおもてなしをさせていただきます。家族に堂々とした態度で家を出てみてください。きっと優越感が味わえますよ」
「そうね。そうしてみるわ」
家族が悔しそうに見送って、私は堂々と家を出るなんて、ざまぁって感じでいいかも!
私は家族も元婚約者も許さない。
あんなクズ家族なんていらない。
少しくらいわからせてあげてもいいよね?
せめて、アリスだけでも……。
アリスはもう私の姉という認識はしない。これからは「他人」として接する。これは私なりの抵抗。
「ではレティシア様。お手をどうぞ」
「はい」
イーサンの手を取る。
きっと私は大丈夫ってなぜか断言できる。それはどうしてなんだろうね。
「行きましょう、イーサン」
「…………」
「イーサン?」
「すみません……エディタ国ってどちらの方向ですか?」
「知らなかったの!?」
「えへへ、かっこつけてみたはいいものの、エディタ国への道のりを知らないって気づきました」
「…………」
呆れながら私はイーサンの手を引いて、エディタ国の家へ戻ってきた。
「それではおやすみなさいませ」
「ありがとう。またね」
私は家の窓から中に入った。
ベッドに横になると、つい言葉がこぼれた。
「立場逆転してるじゃないの〜!っていうか、イーサンが送ってくれる意味あったの〜!?」
ため息をついて、ベッドに潜った。
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