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母は、私に薬を飲ませるために様々な工夫をしてくれた。でも私は「嫌い!!」としか言わなかった。苦い薬も、それを飲ませようとする母も、嫌いになっていった。
熱が出て五日目。お昼ご飯を食べ終えた後、母は戸棚から薬を取り出す。
「香織、お薬飲もうね。ジュースで溶かすから」
「嫌!!飲みたくない!!苦いもん!!」
私は子ども部屋まで走り、ベッドの中に潜り込む。布団を頭までかぶり、布団の中に籠城を決め込んだ。
「香織!!お薬飲まないと治らないよ!!」
母は何度私にその言葉を言っただろう。その言葉は決して間違いじゃない。でもあの頃の私は、ただの子どもだった。
「嫌!!お母さんもお薬も大っ嫌い!!」
一番母に言ってはいけない言葉を言った。
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