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淑女科の王女様
私のクラス、淑女科にはもちろん煌びやかな令嬢たちばかりで、特に公爵〜伯爵令嬢の子たちはこのクラスの中心的な存在である。
「見て!ルミエール様はもう今月で婚約の申し込みが十件だそうよ!」
「さすが王家の右腕、ラシュトダシュターン公爵家の御令嬢。三年の教室でのお姿が目に浮かぶわ。」
「この前はノワール様と歩いているところを拝見しましたの」
「つまりは…」
貴族は噂好きだ。
今はエル姉様の話が多い。
この王立学園は3年制。
エル姉様は今年で卒業となる。
この国は貴族は学園卒業と同時に成人なので、婚約者がいないものは探すのに必死というわけだ。
エル姉様は婚約者がいないので、お父様に婿を探してこいと言われているが、探す気はさらさらないらしい。
口癖は、「エスが婚約者を見つけてからにするわ」
そのため私にさっさと婚約者を探してこいと言われたのだった。
なんならそこら辺の男爵家の息子でもいいと言う。
もう少し自分の家の格と娘の気持ちを慮れと思う。
まあ、そこまでこの鍵が忌まわしいのならそれでいいが。
あっ、ちなみに私の名前はエスポワール・ラシュトダシュターン。
ラシュトダシュターン公爵家の次女である。
「それに比べてあの子はねぇ」
「本当にラシュトダシュターン家の御令嬢?」
「どうせ妾の子でしょう。恋愛小説みたいなストーリーはありませんのよ。」
私は周りと極力関わらないようにした。
鍵のことを知られたくないのもあるし、周りに合わせてしゃべることができるのかと思った。
社交界にあまり顔を出さない私は光明の影と呼ばれている。
光明はエル姉様を指しているのだと思う。
確かに、パーティーに出たらエル姉様にひっついてはいるけれども…。
その点で私は自信がない。
だから、いつも一人でいる。
あと、そう言われそうな要因は女らしくなくショートカットの髪に、貴族らしくない学園の制服で通ってる。
上位貴族はみなこぞってドレスを着てくるからな。
重くないの辛くないの言ってやりたい。
ってか、エル姉様も制服じゃん。
なんでエル姉様はよくて私はダメなんだろ。
はぁ…、貴族社会ってめんどくさい。
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