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 弘樹にだってついているから知っている。知っていると思っていた。だがこれはこんなにも生々しく凶暴な成りをしていただろうか?  ごくっと生唾をのみ思わずベッドの上で両膝をひきよせた弘樹だったが、「だめだよ」そう短く言ったマナブにまた腕をとられ、ころんとうつぶせにされた。腰だけを上げた恥ずかしい恰好にされてしまった。 「こうしていて」  マナブに足をぴったりと寄せて閉じるように動かされる。見えない恐怖に後ろをうかがおうとしたそのとき、手際よくスウェットを下ろされ、尻の谷間にひどく熱いものが触れた。 「あっ」  頭を浮かせて驚きに声を上げる。  それは尻の谷間をすべり腿の隙間に入り込んでまた戻っていく。 「ぅあ、あっ」  秘められた弘樹の後ろをくじるように通り過ぎ、性器までの敏感な場所を舐め上げる。重たく下がった睾丸をかすめて狭い三角の隙間に入り込み、張り出した傘をひっかけて帰っていく。  足がぶるぶると震えた。何度も繰り返されるうちに、いつしか体液がすべりを良くする。それはマナブだけのものではなく、弘樹の立ち上がったものからもとろとろと伝い落ちる。  揺すられる動きに合わせて安物のベッドが悲鳴のようにきしんだ。あられもない行為の音に耳からもあおられて息が上がる。全身の神経がそこに集まってしまったみたいにマナブの動きを追うことがやめられない。背後のマナブの息も荒い。  やがて小さくうめいた彼が弘樹の腰を強く引き寄せると尻の谷間に生ぬるいものが伝った。  終わったのか? そう思って力を抜いた弘樹の耳を、マナブの熱い舌がねぶる。ぞくぞくと背筋に走る快感に肩をすくませると、 「まだだよ」 と咎めるように言われた。  まだ?  終わりじゃないのかと言葉を返そうとしたとき、濡れた後孔にぐっと硬いものが入り込んだ。  指を入れられた!  驚きでまた力の入った身体をなだめるように反対の手が弘樹の身体をなぞる。くすぐったいわき腹をそっと羽で触るように愛撫されながら、異物は容赦なく弘樹の中を探る。  中の壁を撫でられると変な声が漏れそうになって、あわてて喉をしめて布団に顔を埋めた。  やがてシーツが弘樹の唾液で濡れて色を変え、違和感が薄れたころ、ぬぽっと恥ずかしい音を立てて指が抜かれた。だがほっとする間もなく更に数を増した指が入り込む。ぐっと中を押し上げられたとき、思わず弘樹は叫んでいた。 「そこダメッ!」 「ここだね」  かがんだマナブの吐息が首元に触れる。
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