夢の缶詰

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 ならば彼女の問題行動は自分が止めるべきだろう。嫌だが。  さてどうするか。  思案していたが美羽が先に覚悟を決めたらしく、柚子を睨んだ。 「こうなったらイイ男を見つけてやる……柚子、アンタも付き合いなさいよ」 「私、そういうの苦手なんだけど」 「決行は、そうね。再来週の土曜日とかどう?」  話を聞け。  思わず飛び出そうになった文句を麦茶で流し込みながら、スマホを操作する。カレンダーを開いて、彼女へと突き出した。 「残念だけど、その日デート」 「は、はぁあ⁉ 聞いてないっアンタ彼氏いないじゃん!」 「いない。でも隣のクラスの田崎くんに告白された。断ったけど、せめてお試ししてからって食い下がって来たから一度だけ二人っきりでデートする約束したの」  相手は中々のイケメンの同級生。女子人気が高く有名人だ。狙っている人も多い。柚子は興味ないというより、女子同士の陰湿なごたごたを避ける為に断ったのである。  顔が良くても、性格は知らない。仲良くもない。女子の嫉妬つき物件を受け入れる程、無謀でもない。
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