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昔、私の母と和真の母が話していたのを偶然聞いたことがある。
「同じ誕生日で、しかも、同じ時間に産まれるなんて2人は運命だね」と。
だから、私は当然のように和真と結ばれるのだと思っていた。
しかし、現実は甘くなかった。
私の気持ちなんて全く気付いていないであろう和真が、今日も別の女性を連れて帰ってきた。
私はその様子を部屋の窓から眺めることしかできなかった。
和真はその女性に私の知らない顔をみせるのだろうか?
想像するだけで、胸が苦しくなる。
これが初恋を拗らせた私の顛末か。
そして、明日は私と和真の誕生日。
きっと今年も和真に誕生日プレゼントは渡せないだろう。
中学2年の頃から、渡せていないプレゼントが机の引き出しに眠っている。
今年も私の片想いの記録が更新されるだけなのに、律儀にプレゼントを用意している自分に呆れる。
それでも私は和真が好きだ。
だから、和真が私を好きにならないなら、私は運命を信じない。
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