4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
2
次の日、こういう日に限って美術部が休みとか運がわるい。
誕生日を一緒に過ごす相手も居ない私は、まっすぐ帰宅した。
鞄の中には、和真への誕生日プレゼントが入っている。
今更、私は何を期待しているのだろうか?
どうせ和真には届かないのに。
私は俯きながら、駅から自宅までの道のりを歩いていた。
ドンッ
前をよく見ていなかったせいで私は誰かとぶつかってしまった。
「すみません!」
私は慌ててその相手に謝りながら顔を上げた。
「前見て歩いてないからだ。」
私がぶつかった相手は、今、1番会いたくない和真だった。
「考え事してたの。」
「へー。彼氏と喧嘩でもしたか?」
「彼氏なんていないし。」
「え、だって、前に男と歩いてただろ?」
「男の人?いつの話よ。」
私は記憶を遡りながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!