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「あー、あの時か!あの人は美術部の先輩で、画材選ぶのを手伝ってもらってただけ。」
「なんだ、そうだったんだ。」
「和真こそ、昨日も女の人と一緒にいたでしょ。」
「見てたのかよ。」
「見てたんじゃなくて、見えたの!」
「俺も彼女はいないよ。作る気もないし。」
「へー。」
今の和真の一言で、私の失恋は確定した。
「寂しい者同士、誕生日くらい一緒に過ごすか。」
誰のせいで寂しくなってると思ってるって言えたらいいのに。
私は言葉を無理やり飲み込んだ。
「仕方ないな...」
「ほら、早く行くぞ。」
和真は私の手を握って走り出した。
人の気も知らないで、ずるい男。
だけど、久しぶりに和真の体温を感じて嬉しいと思っている私がいた。
「早くしないと間に合わない。」
「何に?」
私の問いかけに和真は答えなかった。
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