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「ずるいわよ! 本当は全然違うのに、勝手に正解って言ってるんでしょ! 占いが半額になるからって、卑怯よ! こんなやつ、最低だから別れなさい! あんたたち、今すぐ別れなさい!」
アンダルシア=はな子がひどいことを言い始める。
彼女の気持ちも分からなくはない。椎名くんならこのくらいの卑怯なことは平気でやる可能性がある。
でも、椎名くんは余裕の笑みを浮かべていた。
「やれやれ。あんたの占いの腕もたかが知れてるな、アンダルシア=はな子」
「何……⁉︎」
「藤川と俺は別れない。何故なら、俺たちは以心伝心でめちゃくちゃ気が合う運命の二人だから」
ドッキンコと心臓が鳴った。
思わず椎名くんを横目で見ると、意志の強そうな凛々しい顔をしていた。
……うわ、かっこいい。
不覚にも、そう思ってしまった。
「行こう、藤川。ここの占い、当たらんわ」
「あ、うん」
椎名くんがさりげなく私の手を掴んだ。私は膝をガクガクさせながら立ち上がった。
フードコートを抜けて、ざわめく人波を手を繋いだまま歩く。私をリードするみたいに一歩だけ前を歩く椎名くんがすごく男らしかった。
運命の二人か。
もしも私たちがそういうカップルなんだったら、確かに相性なんか占う必要はない。
ただ、信じ合って一緒にいればいい。
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