突然の別れ……

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突然の別れ……

「あの子、歩道に飛び出した男の子を  助けようとして……  ドライバーも慌てて急ブレーキをかけた  けど間に合わなくて……事故直後は  意識があったみたいなの。  美緒ちゃんとの約束してた場所を指差して……」  と朝陽のお母さんが泣きながら美緒に言った。 「美緒……大丈夫?」  親友の智美が彼女の腕を握りしめた。 制服姿で埋め尽くされてた葬儀会場、 ニコッと笑ってこちらを見る朝陽の遺影、 朝陽のお父さん、お母さん、お兄さん、 御親族……担任の先生、クラスメイト。 会場内に泣き声が響き渡る。 「朝陽が助けた男の子は、軽傷ですんだ  そうだ……あいつがその子の頭をしっかりと  守ってくれていたお陰だそうだ」  と誰かが口にした。 突然、美緒の前からいなくなった朝陽…… 美緒は彼との想い出が沢山詰まった スマホを取り出し、アルバムから 『笑顔の朝陽』を映し出すと、 スマホを胸に押し当てて涙を流す。 「美緒・・」思い出すのは優しい彼の声ばかり。 思い出すのは、彼の笑顔、彼のすべてて……。 「朝陽……どうして、死んじゃったの?」 一人、悲しみに暮れる美緒。 高校三年の秋、 大好きだった彼との突然の別れ…… 季節は、冬へと移りやがて、春を迎えた。
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