『消えてないぜ』

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『消えてないぜ』

朝陽が、想汰君の前から消えたことを聞かされた 美緒、聡、智美、そして、想汰君は 美緒の家に集合していた。 「じゃあ、その……突然現れた白いスーツ姿の  男性と一緒に朝陽は消えていったんだ」 と想汰君が三人に説明をする。 「そうか……誰かは知らないけど、  その男が朝陽を連れ去ったということか」 「それって、よくある『死神』とか 『あの世の番人』っていうやつかな?」 と智美が言った。 「朝陽、やっぱり、消えちゃったのかな?  また、ちゃんとお別れ言えないままに」 と涙ぐむ美緒を見ると想汰君は、 「美緒先生、大丈夫だよ。朝陽さんは  先生に黙って消えるはずないよ。  だから、心配しないで。何か理由が  あるんだよ」と言った。 「そうだよ。想汰君の言う通りだから……  美緒ちゃん、元気出そうぜ」  聡が美緒を励ます。 「そうだよ。美緒、想汰の言う通りだぜ!  俺が、おまえ等にだまった消えるはず  ないだろ?」と声が聞こえた。 その声に全員が驚き声が聞こえた方を見ると、 朝陽がみんなの前に立っていた。 美緒は朝陽に抱き着くと、 「朝陽、消えたんじゃなかったの?」 と彼の顔を見て呟いた。 朝陽も美緒の顔を見ると、 「美緒、俺がおまえに黙って  消えるはずないだろ?  もう、そういうのはご免だよ」 と言うと彼女の頭を優しく撫でた。 「朝陽……」二人は抱き合った。 「あっと……小学生は見ちゃダメ」 と言うと智美が想汰君の目を手で覆った。 「とにかく……朝陽が現れてよかった」 と胸をなでおろす聡と美緒、智美、想汰君。 「で、今まで何処にいたんだよ?」と聡が聞いた。 「え……と、まずは真っ黒い空間の靄の中  で、俺を連れ去った人と色々と話をしてたよ」 「それって 大丈夫なヤツ?  お前を消す話とか……」 「違うよ、心配すんな……俺、消えてないぜ  それより、来週の花火大会、楽しみだな」  と朝陽が笑った。
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