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『美緒の夢』
その日の夜……美緒は夢を見た。
「美緒、ほら、足元 気を付けないと転ぶぞ……」
手を差し出す朝陽……
「朝陽……」はにかみながら、差し出された手を
握る美緒。
手を繋ぎ、真っすぐに延びた道を歩く二人……
美緒は隣を歩く朝陽を見上げる。
朝陽の後ろから差し込む柔らかい光……
朝陽が笑っているのがわかると美緒は、
「朝陽が隣にいる……隣にいてくれる」
と呟いた。
「美緒? 何言ってんだよ。
俺はいつも美緒と一緒にいるじゃん。
美緒、変なこと言うなよ」
と朝陽が美緒の頭に手を置いた。
「だって朝陽は……」
と彼の顔を見上げる美緒は不安そうに
彼の顔を見た。
彼は優しく微笑むと、
「俺が何? 美緒、約束しただろ……」
ピピピ ピピピとアラームの音で
目覚めた美緒。
「夢……か」と言うと、枕元に飾っている
フォトフレームを取ると、
「朝陽……笑ってた」とフォトフレームを
胸元で握りしめた。
フォトフレームには、花火を背に笑う
朝陽と美緒が写っていた。
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