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プロローグ
わたしは結婚する予定がないし、
もちろん家族もみんなそう思っている。
わたしの左肩には大きなやけどがあって、
こんな大きなやけどがあってはどこの家からの婚約など断られるのだ。
でも、肩なんだからどうにかなるでしょって思うでしょ?
わたしもそう思っていて、
なんならわたしの家族もみんなそう思ってたの。
けど、結婚の話はひとつも進まなかった。
どれだけ、父と母が仲が良くても、
謝られて贈り物まで届いて縁談を断られていた。
父と母はとても落ち込んでいて、
2人とも縁談が断られるたびに
怒ったり、泣いたりしていてね。
わたしからもう結婚したくないと伝えた。
別に結婚だけがすべてでもないでしょ?
わたしのためにふたりが傷つくのは嫌だった。
それにこのやけどだって、わたしは嫌いじゃない。
幼いころに妹をかばって、
ケトルのお湯がかかったときにできたもので
わたしにとっては勲章のようなものだった。
だから、今のこの状況はわたしにとっては
特に問題ではなかった。
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