2・アイドルがいる国へ

4/14
前へ
/25ページ
次へ
オートから降りて、教会に入ることになった。 教会はとても大きくて、美しい。色は角度によって変わる。 正面から見たら白だったのに、近づいいたら淡い青、もっと近づいたらきいろ。 「きれい。」 思わずつぶいやいた。 「だろ?特別な力で守られているからな。」 「これって何でできているの?」 「光と大地と水の粒子。」 「なにでできてるのって、きいたんだけど?」 リュカは、ん?という顔をしてもう一度言った。 「粒子だよ。みんなそうだろ?イルミナ教の教会は神さまたちの要素でできてるんだ。  イルミナ教のこと本当に知らないんだな。」 「知らないわ。隣町から来たけど、別世界ね。イルミナ教について聞きたいな。」 「教会にイルミナ教について書いてある部屋があるからそこ行ってみるか。行ったらわかるから。」 そう言って、リュカは教会の門をくぐってスタスタと歩いていく。 リュカとすれ違う人はみんな彼に会釈する。 ここに頻繁に来ていることが分かって、なんかほほえましい。 あんな横暴な感じだったのに、信心深いなんてギャップすごいや。 「メイリアこっち。ここで一番古い教会の爺さん紹介するから。」 行ってみると、花の柄のような彫り物がしてある扉があった。 「この建物がイルミナ教の成り立ちから教えまで知ることができるところで、  中に入ると案内の爺さんがいてな。その爺さんが全部教えてくれるから。」 「そのおじいさんは今はおいくつくらいなの?」 「俺が小さいころから爺さんだからな。  いくつなんだろうな?本人にきいてみればいいさ。」 リュカはその花柄の扉を開けた。 開けた瞬間、香り、色、音がわたしの中に充満して、 部屋がわたしの中に入ってくるような感覚になった。 慣れてきて、目を開けると目の前には大きな体で、 オレンジ色の服をまとったおじいさん笑顔で立っていた。 「よくいらっしゃいました。  おやおや、リュカさまが人をつれてくるなんて珍しいですね。」 「あぁ、今日役場に来て、  この町のことが知りたいって言って  とんでもない騒ぎ起こしたから、ここに連れてきたんだよ。」 「そうですか、そうですか。そうしたら、役場で  カリヒさまが現れたっていうのは本当だったんですね。」 「もう届いてるんだ?」 「はい、さっき、役場にカリヒさまがきて、  知恵を授けてくれたと言っていた方がきていますたよ。  そうですか、この方がカリヒさまだったんですね。」 そう言って、おじいさんはわたしに頭を下げたので、 あわててわたしも頭を下げる。 「わたし、カリヒさまが誰かもわからなくて!  こちらこそ、ありがとうございます!」 ふたりで頭を下げているのをみて、リュカが笑い始めた。 「クククククッ。ありがとうございますってなんだよ。」 「もう、何笑ってるの!  こんなおじいちゃんに頭下げさせるとか、  わたしはもう床に頭つけないといけないくらいの状況なのよ?」 こういう時は助けるでしょ!おじいちゃんまだ頭下げてるし! リュカをきゅっとにらむと仕方ないなという感じで肩をすくめて やっとおじいさんに話しかける。やっとね。 「もうからかうのやめてくれるか?  彼女、今日、この町に来たばっかりで混乱しちゃってるからさ。  この部屋でこんなに声を荒げた人間なんていないだろ?」 それでも、おじいさんは顔をあげない。 よくわからなくて、おじいさんとリュカを交互に見ていると、 おじいさんの肩が震えていることに気が付いた。 「もう、ふたりともわたしをからかう打ち合わせでもしていたの?」 気が抜けてため息がでた。 「くくくふふふふふ。すまないね。  リュカがつれてくるカリヒさまなんて、  それはもう面白いだろうと思って  ついついやりすぎてしまったかな?  はじめまして、わたしはグレッグです。  この部屋の案内と教会の管理を任されているじいですよ。」 「グレッグさん、初めましてわたしはメイリアと申します。  グレッグさんにお会いできてとてもうれしいです。  お茶目な方で逆に良かったです。」 そう言って、笑うとグレッグさんとリュカは ぽかんとしてわたしを見ていた。 「フフフ。こちらこそ。  あなたのような素敵な人がきてくれてよかった。  メイリアさんをここに呼んでくださったカリヒさまにも感謝します。」 グレッグさんは微笑んでそう言って、  天に右手を挙げて、  その右手を自分の両目にかぶさるように当てた。 それはとても自然で、 でも、神聖なもののようで見とれてしまった。 「さぁ、そろそろイルミナ教についての  説明をお願いしていいか?グレッグじい?」 リュカがそういって、 ようやくわたしたちはもう一つ置くの部屋へ向かった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加