2・アイドルがいる国へ

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隣の部屋は何もないただの白い部屋だった。 そのまま、スタスタとグレッグさんはその部屋の中心まで連れていく。 そこには透明なソファが置いてあって、そこにわたしたちは座った。 「さてしっかり座りましたかね?始めますよ。」 「はい、お願いします!」 グレッグさんはそれを聞いて微笑んでソファの端にあった、丸い飾りを撫でた。 「さぁ、つかまってください。」 つかまる?どういうこと? わたしそもそも真ん中に座ってるからつかまるところなんてないんだけど。 と言っていたら、ソファが上に上がって、 驚いたわたしは隣に座るリュカの腕にしがみついた。 一気に、上がったと思ったら、壁全体に映像が映って、物語がはじまる。 物語の動きに合わせてこのソファ(いやもうソファなのかわからないんだけど)が 動き、音や声が頭の中に流れてくるものだった。 なんて、美しい力なのだろう。 イルミナ教について、話そう。 天がつくった世界に、降り立った天の子供たち。 太陽の神 カリヒさまは命を吹き入れる、誕生と知恵の神さま。 月の神 ラヒトさまは優しく包む、維持と平和の神さま。 水の神 クロンさまは素直で荒々しい、恵みと破壊の神さま。いくつもの顔をもつ。 かれらは全員でこの世界を統治するように天である父親に言い渡される。 何もなかったこの土地に カリヒさまが光の粒をとって命を吹き入れて、生物の女たちが現れた。 このとき、初めに生まれたのはすべての動物の女であり、 その女たちが神たちと同じように光で、子どもを造って人間も動物も増えていった。 人間の女にはみな魔法の力が備わっていた。 しかし、皆が同じだと何も進歩せず、 うまくいかないと考えたカリヒさまは 弟のラヒトさまに協力してもらって、新しい命を作る。 しかし、この時に光だけでは足りず、 大地からとった土も混ぜて男を作った。 男たちは大地にくっついているから、この時初めて重さができた。 そのあと、男と女がまじわったことで 人間はエネルギーを呼吸で得て、生きることができなくなった。 これでは人間が死んでしまうからと言って、 カリヒさまは自分の心臓をちぎって大地に埋めた。 そこから、木の実や野菜ができるようになった。 それを大きく育てるために、末の弟のクロンさまに頼み、 大地を割ってほぐし、そこに根を張り、その上から水を注いでもらった。 このときクロンさまが人間と遊んでいて、 よそ見をしていたからできたのが湖だ。 それをみたカリヒさまはクロンさまを厳しく叱った。 その厳しさのあまり、 クロンさまが3日間涙を流した涙は海になった。 クロンさまが地球を海で覆い尽くさないように、 兄であるラヒトさまがクロンをあやすために山を作ったとされている。 女は光でできているから、すべてを感じて世界を知る 男は光と土でできているから、すべてを証明、解明して世界を知る わたしたちはすべて神で作られたものであり、神そのものでできている。 わたしたちは常に神に感謝をする。 わたしたちが唯一できることは神への感謝と神を想って祈ることのみである。
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