2・アイドルがいる国へ

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「グレッグさん、リュカさんこんにちは。  セイラが迷惑かけたみたいで  すみませんでした。  お連れさんも大丈夫でしたか?」 緑色の服を着たすらっとして 透けた金色の髪をした 男の子が丁寧に話している。 思わず、うんうんとうなづく。 「はい、大丈夫です。ありがとう。」 「セイラはリュカさん絡むと  人格変わっちゃうんですよ。  目を離したすきに走っていちゃって。」 なんて、低姿勢。なんて、紳士。 なんて、優しい声。 推せる!!! 「ありがとう。みどりのかた。」 「え?ちょっと大丈夫ですか?」 思わず、涙が流れてしまった。尊い! 「あ、すみません、尊すぎて思わず。。  恐怖の後のやさしさがしっかり  しみ込んできました。  あなたはラヒトさまのアイドルですよね?  わたしはメイリアです。  よろしくお願いします。」 これぞ、アイドルだわ。 やさしい、神々しい。 「よくわかりましたね。  ぼくがラヒトさまのアイドルって。  ぼくはハリムです。  メイリアさんよろしくお願いします。」 「さっき、グレッグさんに教えて  もらったばかりですから。ね?」 「そうですね。  メイリアさんはハリムのどこが、  ラヒトさまらしいと思いましたか?」 「羽織じゃないみどりに服に、  セイラさんの知り合いじゃないですか?」 「はい、確かにそこもわかりやすいですよね。  でも、カリヒさま以外に2人の  男の神さまがいました。  なぜハリムのほうが  ラヒトさまのアイドルだと?」 「だって、ハリムさん、  みどり色着てるじゃないですか?  カリヒさまがアカ、ラヒトさまがミドリ、  クロンさまはムラサキですよね?  それに慈愛と安定感。  地に根が張っている感覚もあるし。」  さっきのセイラのときの思っていたが、 はなす言葉に色がついている。 リュカとグレッグの時には感じなかったが、 セイラはアカ、ハリムはミドリの色が 感覚としてある。  それはあの白い部屋で、 神さまごとの説明を聞いているときも 感じたもので、神さまごとの解説は ナレーターが変わるたびに色も変わった。 「あー、だからあの部屋って白かったんだ!  それに、神さまごとに、  アイドルさん変えて説明していたんですね。  だから、全部色が違かったんだ。  今、ふたりのアイドルに会えて  やっとわかりました。」  はぁ、そういうことかぁ、と すっきりとして周りを見ると、 周りはそんなことなかったみたいで。  グレッグさんは優しい笑顔で手をたたいて、 リュカは手でおでこを抑えて、 下を向いてため息をつき、 ハリムさんは目を輝かせて 両手を前に組んでいた。 「え?えええ?みんななんですか?  何が起きたんですかこの状況?」 グレッグさんがニコリと笑って口を開く。 「とりあえず、大聖堂に行きましょうか?」 「ぼくも一緒に行ってもいいですか?  グレッグさん?」 「あぁ、ハリムも来るといい。  これは証人が何人かいたほうが  いいから、セイラも呼んでおいでね。」 よくわからないまま、 みんなで大聖堂に向かった。
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