2・アイドルがいる国へ

9/14
前へ
/25ページ
次へ
大聖堂は円形で、 中央の一段上がったところには、 ステンドグラスのような キラキラとした柱が天井を突き抜けていた。 その柱の前には オーバル型をした水晶が 1つ台の上に置かれている。 それを囲むように椅子が並んでいる。 何重にも。 グレッグさんの後ろについていくと そのオーバル型をした水晶の前に立たされた。 「メイリアさん。  その水晶に手を当ててみてもらえますか?  今あなたの目の前には何が見えますか?」 「水晶です。」 「はい、目の前に水晶がありますね。  その奥には何がありますか?」 「キラキラとした柱があります。  何と聞かれるとよくわからないんですけど、  ステンドグラスみたいな感じで、  虹色にキラキラとしてますね。」 「そうですか、そうですか。少し、水晶の前からズレてもらっていいですか?ハリム、水晶の前にいって、水晶に手をあててごらん。」 ハリムが中央に上がってきて、 水晶に手を当てた瞬間、柱の色が変わった。 うわぁと思わず声が出る。 触れた部分からみどり色の光がキラキラと広がっていってみどりの柱ができた。 「メイリアさん、今その柱は何色に見えますか?」 「もちろんみどりです!水晶からみどり色のキラキラが流れ込んで柱がみどり色に染まりましたね。きれいー。これも神さまの力なんですか?」 「そうですよ。じゃあ、次にセイラも水晶に手を当ててくれるか?」 セイラが上がってきて、セイラとハリムで片手ずつ水晶に当てる。 そうすると、今度はみどりに光っていた柱の横に赤色の柱が立った。 2柱は混ざることはないが それぞれが美しく際立つ。 お互いが独立してるのに調和する。 「なんて綺麗なの。赤色がまた、よりみどりを美しくするのね。赤もみどりのよさを引き出してる。見てるだけでもすごく穏やかで気持ちよくなるわ。」 あまりの美しさにその場で深呼吸する。 まるで二つの色が自分の中に入ってくるような心地がして気持ちがいい。 「メイリアさん、次は、」 グレッグが言い切る前に、 わたしは2人の間に手を置いていた。 これはとても自然なことだった。 だってこの2人がキラキラとしてるのなら 私が入ったらどうなるのか知りたいのは 当たり前でしょ? 手を置いた瞬間に体の中に風が吹き込む。 さっき見た光が全身に行き渡る。 なんて気持ちいいんだろう。 さっきまで並んでいた赤とみどりの柱が わたしが手を置いた瞬間に混ざり合い始めた。 赤とみどりはそれぞれだけど、 透明の光る光が2色を混ざり合わさらせて、 さらに光り輝いている。 横にいる2人を見ると、 2人も気持ちよさそうに目を閉じている。 その光景を見ているグレッグはうなづいて 笑っていて、リュカは口を開けて バカみたいな顔だった。 それが面白くて、おもわず 水晶から手を離して笑った。 「リュカ、今のあなた本当にバカみたいに  見えるわ。口閉じて、口。」 わたしは真ん中から、 グレッグとリュカの元に戻った。 「はぁー、おもしろかった。 神さまのエネルギーってあんな感じなのね。 ハリムとセイラのみどりとあかも 気持ちよかったけど、3人になるとまた すごいインパクト!リュカも見ていたでしょ?どうだった?」 「あぁ、見てたよ。生まれてはじめてみた。」 他の3人も深くうなづく。 「生まれてはじめてって、よくきてるんでしょ?教会の人しか入れないの?」 「僕たちもはじめてでしたよ。  すごい心地よさで今も身体も心も  エネルギーがみなぎってます。」 ハリムが風呂にでも入ったかのような 紅くなった顔でいう。 ん?なに?どういうこと? 自分だけ何が起きているかわからなくて 置いてけぼり感。 「わたし、なんか変なこといってます?」 不安になって聞いてみた。 「いえ、むしろ、メイリアさんは今とんでもない偉業を成し遂げたんですよ。」 「ふんふん、偉業ね、そうですよね。 はじめて来たばかりだから変なこといっちゃって恥ずかしいです。」 「メイリアさん、話聞いてますか?逆です。 あなたは今、ここで奇跡を起こしたんですよ。3人の神のエネルギーは本来独立しています。しかし、あなたはそれを混ぜ合わせてみせた。 しかも、本来選ばれたものしか見えない 色がはじめから見えてる上に、 リュカのようななにも見えない ものにまで見せた。 あなたは何者なんですか?」 ええー!! 何者なんですか?ってこっちが聞きたいよ。 わたし一体なにしちゃったのー?
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加