2・アイドルがいる国へ

10/14
前へ
/25ページ
次へ
そのあと、わたしたちはスタッフの人が 働く事務所にいくことになった。 中に入ると、 事務所はごった返していた。 ありえないエネルギーの検知が あったとかなんだとか。 さっきやったことと関係があるようで、 グレッグさんとハリム、セイラが エネルギー管理チームに話をしにいった。 その間、わたしとリュカは ソファに腰掛けてティータイム。 紅茶のいい香りがする。 はぁー、やっと落ち着けて。 「ふぅー。極楽、極楽と。」 紅茶をひと口飲んでソファに沈み込む。 この街に来てからバタバタしていたから やっと落ち着いた時間だった。 「リュカさんや、まぁまぁ一杯飲みなさいな。さぁ、さぁ。」 さっきからため息ついて おつかれのリュカに声をかける。 そんなわたしを見てまた、 リュカは深いため息をつく。 「お前さ、今誰のせいで何が起きてるのか  わかってるのか?」 「うーん、半分わかってて、  半分わかりたくないかなぁ。  まぁ、一つ言えるのはこういう時は  とりあえず落ち着けってことよ。  さぁ、飲みなさい、お茶。」 わたしはリュカにもう一度お茶を勧めると リュカも観念してお茶を飲みはじめた。 「落ち着いてんだな。」 「まぁ、伊達に現場にでてないし、  無駄に年齢も重ねてないからね。」 「メイリアが今のタイミングで  きてくれてよかったな。」 「ん?なんで?」 「ここでピーピー騒ぐようなやつじゃ、  俺の相手にならないだろ?」 「そう?あなたならぴーぴーぴよちゃんでも  なんでも相手できそうだけどね。」 「人が褒めてんだから、少しは流れに乗れよ。」 わたしが笑っていうことに、 リュカは拗ねた口調で言い返してくる。 わたしより年上のくせに、すぐすねるのね。 あきれてため息を漏らすと、ハリムがやってきた。 「おふたりともよろしいですか?  こちらにきてください。」 ふぅと息を吐いて、わたしは立ち上がる。 あー、何を言われるのか緊張してるわたしを落ち着かせる。 ハリムについていくと、大きな机のある部屋に連れていかれた。 グレッグさんのほかにも 同じ服を着た人たちが座っている。 「そちらに座ってください。」 グレッグさんに促されて正面の椅子に座る。 「リュカは?」 「リュカさんはこちらに。」 リュカはグレッグさんたち側に座る。 さて、この1対6の感じ何が始まるのやら。 と、こころのなかで思いつつ、 もちろんかわいいスマイルを貼り付けておく。 「メイリアさん。 もう一度自己紹介をしてもいいですか?」 グレッグさんが丁寧にきいてくるので うなづいた。 「はじめまして、メイリア・ハロミスタです。  隣の町から今日この町に来ました。  よろしくお願いいます。  ここで隠しても仕方ないので  正直にお話ししますと、  わたしの一族に代々伝わる  決まりがありまして  その決まりはまぁ、  いろいろあるんですが、  それに従って、ここにやってきました。」 「お話してくれてありがとうございます。  皆さん、メイリアさんに聞きたいことは ありますか?」 すると、グレッグさんの横に座っている 女性が優しい笑顔で話し始めた。 「はじめまして、わたしはフジと申します。  この町に来ることも  代々の決まりだったんですか?」 「いえ、この町にくることは  代々の決まりではなく、  前の開発のときに建てた家があったので。」 それを聞いた瞬間にリュカが口を開く。 「ん?メイリアの家ってもしかして  東のほうにある緑色の屋根の?」 「東かどうかはよくわからないな。  緑の屋根はそうだったかな。」 「家の前に大きな木があって、奥には湖があっただろ?で、壁はうすい黄色。」 「うん、そう、その家。湖畔の家なんだなって思った。」 確かに、奥には湖があった。 まだちらっとしか見てないけど。 緑色の瓦屋根に、うすきいろの壁でできた木造の家は真新しかったけど、 簡易的に作るとなればこういう方法もあるかと思ったのだ。 でも、聞いていた人たちの様子は違うようで、 みんな家の場所の話を聞いた瞬間に ぴたっと動きが止まった。 なんだ?これは?
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加