2・アイドルがいる国へ

12/14
前へ
/25ページ
次へ
10分後にきたデータを確認した。 "この制約が発動したものの証は 身体にみどり色の宝石が身体に現れる。 この宝石が現れてからは この制約を違反すると罰がくだる。 雷に打たれたような痛みに苦しむ。 この制約をときたくば、 早く決められたことを達成せよ。" 制約を破る。という行為。 さっきの話で行くとたぶんあの言葉。 「働く。」 この言葉をつぶやいた瞬間に また身体中に痛みが出る。 「働かない!」 はぁはぁ。 もう一度叫ぶと痛みは無くなった。 周りのみんなはわたしを 心配そうに見つめている。 「みなさん。わたしは聖女でした。」 みんな期待に満ちた目でわたしをみながら うなづいてくる。ひぃ。 「なんですが、聖女には慣れません。」 「ふへぇ?」 思わず、フジさんから変な声が出る。 「え?どういうことですか?  石にはなんと言われたんですか?」 「この青い石には "あなたは聖女です。321年ぶりの聖女よ、  あなたの力でこの国の民をよりよく  してあげなさい。さぁ、働くのです" って言われて。」 フジさんや他の人たちも うんうんとうなづいて喜んでいる。 『ちょっとあなた、 わたしはそんな喋り方でありません!』と 青石が言ってきているのかま無視して続ける。 「聖女として働くのね!って言った  瞬間にわたしに電流が走りました。」 「電流?」 「自己紹介の時にもお伝えしたんですが、  実はわたしは今、我が一族の決まり  というか、呪いにかかっておりまして。」 「呪い?」 「それが、運命の相手を見つけるまで 仕事をしてはいけない。働いてはいけないと。」 みんなの頭にいまはてなマークが浮かんでる。 わかってる。 そういう反応になるのわかってる。 どんだけ深刻に話そうと思ってなんか変なのわかってる。 「呪いっていうかなんか 子供の幸せを願う両親の気持ちじゃない?」 セイラが呆れた顔で言う。 「こども幸せを願う親が、子どもに電流流すとと思う?」 こちらも呆れた感じで返す。 「なんでそんなことになったんですか?」 ハリムはこころなしかキラキラとした目で質問してくる。 キラキラの目と呆れた目とがっかりした目と わたしは疲れてため息をついてから この呪いについて話した。 もう、決まりとか制約じゃないのよ。 呪いなのよこれ。 わたしが話し終えると、 グレッグさんとその周りの人たちが 話し合いはじめた。 パッとリュカの方を見るとにやにやとしている。わたしは思わずムッとした。 「ちょっとなんで笑ってんのよ。」 「いや、誰だって笑うだろ。家族から、いやそれどころじゃないか、先祖代々の人たちからも心配されてるなんてなかなかないぞ?」 「うるさいんですけど、あなたこそいい歳して結婚してないんでしょ?わたしよりも明らかに年上なのにそっちの方が笑えるわよ。」 「本当にお前はわかってないな。モテる男は簡単に誰かのものになんかならないんだよ。俺はみんなのだからな。」 小声で話していたわたしたちをみてセイラが飛んできて大きな声を出す。 「ちょっとちょっとなにしてるんですか、2人離れて離れて。」 わたしとリュカの間に入ってくる。 「メイリアさん、さっきも言いました方リュカはわたしのフィアンセなんです。あなたの呪いを解くのは別の男にしてください!」 「いや、フィアンセってなんだよそれ。」 「あらやだごめんなさい。でもね、わたしこんな人に興味ないんで、安心して大丈夫。さぁさぁ、セイラちゃんここに座りなさいな。わたしはあっちの席にいかせていただきますわ。」 席を立って、セイラが座っていた ハリムの横の席にむかう。 「それよ!リュカさまでいいじゃない! ピッタリじゃないの!」 フジさんがまた興奮して話し始める。 「聖女と王子なんて、 ラブストーリーの鉄板だもの。」 「いやいや、こんなおじさんが 王子なわけないじゃないですか。 勘弁してくださいよ。 じゃあ、お城でも見せてって感じですよ。」 「お城なら、すぐ裏にありますよ? みに行きますか?」 え?っと思ってリュカを見ると ひらひらと手を振って笑顔を向けてくる。 なんやそれ? 「え?王子って本当なの?  こんなにおじさんなのに?  こんなに口悪いのに?」 「うちの国では王が譲るもしくは  死ぬまでは王子なんですよ。 リュカは今年で45かな?」 グレッグさんは安定の笑顔で応えてくる。 驚きが隠せない。 こんなやつが王子って? なんだこの少女漫画展開! いい加減にして!
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加