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「とりあえず、わたしは会って1日でこんなめんどくさい王子はごめんです!それにこの歳で王子だとしても奥さんとか婚約者くらいいるでしょ?」
「まぁ、いたことはもちろんあるが、今はいないな。」
「ほらほら、はじめは印象悪かったけど、実はみたいな展開もよくあるし。なんか秘密とか含みがある方が燃えるじゃないですか?」
「フジさん、いい加減にしてください!リュカは次はわたしと付き合うんだからダメにきまってるでしょ!」
フーッフーッとシャーッシャーッと
興奮したセイラが怒りはじめる。
ちょっと、小動物興奮させたのだれよ?
「ほらほら、セイラがいるんですから、わたしなんて入る隙ないですよー。セイラとリュカお似合いー。ひゅーひゅー❤︎」
「メイリアさんやめて、もう面白すぎるー。」
ハリムがずっと堪えていたものを発散するかの如く大声で笑い始める。
ヒャッヒャッ言いながら笑わないで欲しいわ。
「そんな笑わないでもらっていい?
こっちは電流と仕事がかかってるんだから。」
「いや、もう呪いもそうですけど、ひゅーひゅーってひゅーひゅー。ヒャッヒャッ」
「もう!」
ハリムは笑いすぎて泣いて、椅子から転げてる。
笑いすぎな!
怒ってる小動物に、ヘラヘラしてる45歳王子、
笑い転げるアイドルに縋るような目で見てくるフジさんの一行。
「とりあえず、わたしは運命の人が見つかるまでは仕事や働くこと、慈善活動とかもなんもできないんです。だから、今回の件も本当にすみません。この呪いが解除されたらってことでもういいですかね?」
運命の人が見つかるまでとか堂々言えるようになったわたしが恥ずかしいと思いながら続ける。
「わたし、働くの好きなんです。今回の聖女の話も、石にあなたがと言われた時にとても嬉しかったんです。多くの人のためになる聖なる力と、わたしが今まで培ってきた力を使えばそれはもうすごいことになると思いました。
でも、だから、今はわたしはわたしのために
この制約を解かないといけないんです。わたしがやっていた事業も今は友達たちに預けてきていますし。」
これはわたしの本当の気持ちなのだ。
働きたい。なんなら働きすぎて
こんなことになってるくらいだしね。
「メイリアさんすみませんでした。
伝説の聖女が現れたと思ったら
ついつい興奮してこんな態度をとってしまいました。」
「いえいえ、きっとわたしと皆さんの立場だったら同じような対応とってると思いますしね。まぁ、とりあえず運命の人を見つけてからで、いつ見つかるか分かりませんけど、ははは。」
「何を言ってるんですか!聖女さまならすぐに見つかります!だって女神に選ばれたモノなんですよ。自信持ってください。」
聖女だからってそんな簡単に自信持てない。
なぜならわたし聖女歴1時間くらいだから。
「ありがとうございます。
まぁ、がんばります◎」
とりあえず笑顔でフジさんをみる。
応援します!って言ってるのが見た目とのギャップがすごいんだよね。
パンパンとグレッグさんが手を打ち、
わたしの方にやってきた。
バタバタとしていた空気がやっと落ち着いた。
「メイリアさん、
今日はありがとうございました。
突然のことで色々と戸惑われたでしょう。
聖女が300年ぶりくらいに現れて
わたしたちもおどろき思わず取り乱してしまって申し訳ありません。
でも、それだけ聖女がこの国において大きな意味があるということを理解していただけると嬉しいです。本来であればこのあと、国王に報告をしてという流れになるのですが、今回は王子もいることですし、聖女も一時辞退されますし、国王には伝えるのは控えます。
ただ、聖女さまが誕生したことに気がつくモノは少なからずいます。なのでこちらを常につけていてください。この石には意思と聖力がありますのであなたを守ってくれますので。」
グレッグさんに渡されたのは細い透明な紐の先に、さっきと同じ色をした青い石がついたネックレスだった。
「いや、でもこんなものもらうのも悪いので大切なモノですよね?」
「はい、大切なものです。しかし、大切な聖女さまを守るための大切なモノですから、メイリアさんあなたに今は持っていて欲しいモノです。聖女であり、この国を訪れて教会やこの国の仕組みを知ろうとしてくれた素敵なお嬢さんにね。」
まだ運命の人が見つかっても確実に聖女になるとも決まっていないわたしがもらっていいんだろうか?そんな半端な気持ちでもらうモノでもない気がするし。
わたしがウジウジと悩んでいるとリュカがやってきて、ネックレスをわたしにかけた。
ちょっ!あんた勝手に!
「いいんだよ、とりあえず受け取れば。
この石はお前を助けてくれるんだ。
そうしたら運命の相手とやらを見つける手伝いもしてくれるし、女1人であの家に住む用心棒にもなるんだから、あんま深く考えんな。
さっきまでのドンとしたお前はどこいったんだ?メイリア。」
リュカの言った言葉に思わず笑った。
まだ会って1日目の男にこんなこと言われてるなんて、家にいたら絶対になかったことじゃない。
メイリア、楽しめばいいのよこの状況を。
「ふふふ、わかったわ、受け取ります。
なんかわたしらしくなかったな。
結果はわかりません。
聖女になるのか国に帰るのか。
でも、今ここにいる間は聖女候補として
このネックレスを受け取ります。
それと、ときどきこの教会に来ていいですか?
祈りやお茶しに来たり、みに来たり。」
「ええ、ぜひ。いつでも大歓迎ですよ。
今ここの部屋にいる人たちはあなたを知っていますし、事情も知っていますから気軽にお越しください。」
やっとみんな笑顔になってこの会議が終わった。
教会の門へ行くともう日が暮れ始めてる。
あー、とてつもない刺激的な日だったわ。
「ではみなさんありがとうございました。
また来ますね。」
そう言って門を出ようとすると、リュカが一緒に帰ろうと出てきた。
「リュカさま?今回のことについてまだ私たちは話をしなくてはなりませんからお残りください。」
「でも、メイリアを1人で返すわけにも行かないだろ?」
「リュカさまが行く必要ないでしょ。あなたはこの会議に必要なんですからね。ハリムが送って行きますからさぁ、戻ってください。」
リュカは渋々教会にもどり、代わりにハリムがやってきた。
「あれ?緑の服じゃないんだ?」
「あの洋服は教会の中だけですよ。いつもは普通の男の子です。」
普通といっても上下白い服を着ているのだけどね。わたしより大きいのだけどなんとも可愛らしい。
「メイリアさん、オートも来ましたし帰りましょう。」
ハリムにエスコートされてオートに乗り込み、みんなに手を振って家に向かった。
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