人肉館、遂に焼肉屋へ。~ようこそカーニバルへ~

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人肉館、遂に焼肉屋へ。~ようこそカーニバルへ~

 丁度二か月が経過した。教室で席に座って雪が解け込んでいく川面を見つめていると、ボクの名前を呼ぶ声が聞こえた。前まで聞き馴染みのあった声だ。台風一過みたいな違和感のない晴れ晴れしい和馬君の笑顔があった。 「おい、人肉館の話、聞いたか」  いきなり声をかけられた上に、人肉館の話とは驚いた。どうしたのと言葉に出さずに顔で尋ねる。 「あそこな、焼肉屋になったんだよ」  へっ、と声が喉からついこぼれた。死霊が驚くなんてあり得ないのに。 「人肉館がなくなって、跡地にお店ができたんだってよ。確か店名は『生きる希望を与える店』っていうんだってさ。変なところだよな」  普通焼肉屋と言えば、何とか苑とか、何とか楼みたいな名前が相場だろう。「生きる希望を与える店」とは、どういうつもりで名づけたのか。  和馬君は前かがみになって、ボクの右耳にふわっと耳打ちした。 「ちょっと今日行って見てみようぜ。兄貴たちによれば見た目は普通の焼肉屋なんだってよ。でもさ、何か嫌な感じするんだってさ」  心臓の毛が逆立つように、鼓動までもがゾッゾッと鳴る。二か月前に行った人肉館の様子をそのまま思い出す。野バラの冷たい生命力が人間の体温の籠った生命を拒絶する場所。 「分かった。放課後、自転車取りに帰ってからすぐに行こう」
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