カーニバルの佳境、青紫に燃えるお父さんの正義

3/6
前へ
/67ページ
次へ
「いいかァ、よく見ておけよォ。ここに蓋が付いているだろ」  お父さんは浣人の両足の先端を持って大きく股を広げた。股にはレイチェルらしき浣人が前に見せてくれた腐ったハムが何枚か折り重なったようなものが見えた。 「これが蓋って言うんだ。船橋ちょっと押さえていて」  返事がなかった。 「あれ、船橋はどこに行ったんだ。トイレにでも行ってんのか。まあいっか。慎太郎、この足広げたままにしておいてくれ。今から蓋を開封しないといけないからなァ」  ボクは言われたまま、浣人の股が開いたままになるように、足の先端を掴んで目一杯広げた。 「さァあ、ここで刃物の登場だ。浣人は進化の過程で膣口のところに肉の蓋ができたからな。こいつで肉を裂いて突っ込めるようにしてやんないといけないんだな」  お父さんは一瞬もためらわずに、肉の蓋と言われる茶色っぽいハムみたいな肉を縦に切った。  その瞬間、お父さんもボクも正面から血を浴びた。 「蓋を切ると毎回こうなるんだよなァ、これだけが困るんよ」  かなりの量の血液だった。ボクは不意に床に広がる血痕を思い出す。  初めて人肉館に行った時に床に大きな血痕が残っていた。和馬君はてけてけと裸の男の霊が出ると言った。てけてけはきっと浣人が匍匐前進していた姿だろう。裸の男とは、今目の前で全裸になったお父さんに違いない。  和馬君の兄が架空の人物となると、和馬君は最初にお父さんたちを見つけていたのか。事実が次々に模様を変えて万華鏡状態だ。 「よし準備完了。次の行程にはいるぞ。ほら、慎太郎も脱げ。裸にやって抱いてやんだよ」  お父さんは腕毛と胸毛が繋がるように腋毛が茂っている裸体を晒しながら、浣人の体に覆い被さった。 「慎太郎、このキムチ知っているか?」  お父さんがキムチの入った容器を開けると、酸っぱい匂いが広がった。お母さんの体に塗りたくっていたキムチと同じ匂いがする。 「これはなお父さん特製のキムチなんだ。これをお猿とか浣人とかに塗るとさ、お互い惹かれ合っちゃうんだよね。いやァそれにしても、これをお猿に塗っている梨花さんはエロかったなァ」  お父さんが何を言っているのか、しっかり理解できなかった。ただただ文鎮を四個ほど胃の中に沈められたような気分になった。 「見てみろ、慎太郎。浣人の顔がこんなに蕩けちまって。きいっしょくわりィだろォ」
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加