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第60話(BL特有シーン・回避可)
這わせた京哉を霧島は背後から攻めていた。
幾度も注ぎ込んだ京哉の中はずぶ濡れで前後するたびに淫ら極まりない音がする。
張り詰めた己を根元まで突き入れ、また引き抜く時には大量に放った欲望の果てが溢れて京哉の白い内腿を伝いシーツに染みを作った。
振り絞るような高い喘ぎが、ずっと鼓膜を震わせている。
「っん、ああんっ! はぁん、忍さん……はぅんっ!」
「もっとだ、京哉……もっとくれ、京哉!」
うわごとのように、ひたすら名を呼びながら攻め続けていた。どれほどの時間が経ったのか、更には何度いったか、いかせたのか分からない。
冷たかった汗が徐々に熱を帯び始めている。それでもまだ制御不能な己の躰は白く華奢な京哉の躰を蹂躙し続けていた。だがずっと感じているのはただ『甘い』という感覚だった。
「京哉、私はずっとこうしたかったんだ……京哉!」
「分かってました、忍さん……好きなだけ僕に、はぁんっ!」
もう予兆もなく京哉がシーツに薄い雫を零す。同時にきつく締めつけられて霧島も京哉の中に溢れさせた。細い躰を仰向けにさせ、また激しく掻き混ぜ始める。華奢な躰を軋ませるようにして衝動を叩きつけ続けた。
目に映るのは充血しているのに水分不足で涙すら流せない黒い瞳だ。それと白い腿を伝う欲望に混じった鮮やかな赤。濡れたシーツにも点々と血が付着している。
どれだけ酷いことをしてしまったのかと思うも、始めてしまえばこうなるのは分かっていたのだ。コントロール不能な心と躰を抱え、霧島自身どうしようもなかった。
もはや喘ぐこともできなくなった胸に口づける。そして殆ど痛みにも似た情欲が突き上がり弾けるのを霧島は味わった。
するとふいに腹の底を炙り続けていた焦燥感が薄らいでいるのに気が付く。まともに考えられなかった状態から、ほんの僅かだが脱しつつあるようだった。
大きく息をついて自分を宥め、京哉の上から身を起こす。
これまで経験がないくらいガタがきた躰で霧島はベッドから滑り降り、壁や家具を伝い歩いて何とかキッチンまで辿り着くと、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターの五百ミリペットボトルを発見した。
まずは一本を自分が一気飲みし、もう一本を出すとテーブルに転がっていたオレンジふたつも抱えて再び伝い歩きで寝室に戻る。
眠りかけている京哉を起こすのは可哀相だったが脱水症状を起こさないように、華奢な躰を揺さぶって口移しでミネラルウォーターを流し込んだ。それで何とか覚醒したらしい京哉の背に枕を詰め込んでやり、ボトルを手に握らせる。
「それを飲んで、可能ならこれを食ってから寝てくれ」
「ん……」
少しずつ水を減らす京哉はまだ朦朧としているようだ。そんな京哉に包丁を隠されてしまった霧島は力技で剥いたオレンジの房を突き出す。京哉は素直に口を開けた。
「何これ、すっごく美味しい」
「血糖値が下がりきっているんだろう。まだあるぞ、ほら」
オレンジふたつを分け合って食べ、水を飲み干すと京哉は気絶するように寝入る。霧島は救急箱をかき回し、抗生物質入りの傷薬を出して京哉と自分の体内に塗り込んだ。そこまでして眩暈のような眠気が襲った。
ベッドに這い上がって京哉に左腕で腕枕をしてやる。
温かな細い躰を抱き締めると過剰な疲れがようやく霧島にも眠りをもたらした。
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