愛ゆえに君へ伝える

第二章

　うわー、手紙書き始めちゃったよ。
　こうなったら後戻りは出来ないよな……ってことで自分の独断で勝手に話を進める。

　なあ、潤が前にラブレターをくれたの覚えてるか？　(結局はビリビリに破れて手元に届かなかったんだし、くれたというのは違うかも)
　お前は今でもあれが古臭いって思ってるんだろうし、言おうか迷ったんだけど、実は俺あの手紙の内容、写真取って保管してるんだよ。

　あっ、今このこと知って発狂しただろ？　実はこんな純粋な好きが詰まった手紙をもらえて、結構嬉しかったんだよ。もちろん、当時は戸惑いの方が気持ちは大きかったかもしれないけど。

　あんな素敵な手紙をめっちゃ勇気を出して書いてくれたんだから、俺も同じ手紙で気持ちを伝え返したいなって思った。だからこうして今、お前に向けて他人に見られたら恥ずかしい想いを綴っている。

　話は変わるけど、潤がお見合いするって言ったときにさ、俺何だか悔しかったんだよ。いや、悔しいというよりかは"寂しい"が性に合ってるかもしれない。
　俺が悪いことをしても全部受け止めるって言うくらいに、ベタぼれだったのに、急にお前、自分から遠くに離れようとしてさ……。

　多分、俺好きだったんだよ。
　只、恋愛が男女の間のみにあることだと信じて疑わなかっただけで、今よりずっと前からお前のことが好きだったんだ。
　もしかしたら、今度は俺が片想いする番なのかな？　分かりきった答えを長い間、口に出来ずに居たんだから自業自得でしかないな。
　あのさ、俺片想いっていうか、同性を好きになるってことがこんなに辛いなんて思わなかったよ。
　あー、何か文字書いてるだけなのに、目から涙出てきたんだけど。俺、ホントに脆すぎ……。

　俺らはもう成人して結構経つワケで、会社で出逢ったから、潤の学生時代とかも何も知らない。けどさ、その元カノと過ごした楽しい時間を覆い隠してしまうくらいに、これから潤と二人で永遠の青春を味わえたらいいなって思うんだ。

　……あれ、ちょっと待ってくれ。
　台詞がクサイからって元カノと俺のこと嘲笑ってないよな……？

　えっと、少しの間でも俺なんかを好きになってくれて、本当にありがとう。期待してる訳ではないけど、この手紙読んだ後ってさ、俺らどんな関係になってるんだろうな。
　今流してる涙って一体、何の涙なのか俺にも分かんないよ。
　潤と離れるのが辛いのかもしれないし、怖いのかもしれない。

　まあ、何となくもう一回だけ言わせてくれよ。どうせもう言う機会なんて無いんだろうし。

　潤が好き、めちゃくちゃ好き。
　死ぬほど大好きだ。あいしてる。

　なんか今更になって恥ずかしくなってきた。もし、手紙読んだら捨てといてくれ。手間かけさせて悪いけど、よろしく！