第一章

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 今頃、お前はこの手紙を読んでいる事だろう。(当たり前だが。)  ……単刀直入にいう。  お前がずっと前から好きだ。  勿論、仕事仲間としての意味ではなく、恋愛的な意味でになる。  男の俺から告白されるなんて夢にも思わなかっただろう?  因みに俺はゲイじゃない。  たまたま好きだったのが、お前なだけだ……と、言いたい所だが、多分世間一般にいうバイに当てはまるんだと思う。  こんな事をしておいてなんだが、出来る限り俺はお前との関係を崩したくない。  だから返事は強要しない事にする。  じゃあ、何で俺がお前に告白なんかしたのかというとだな……。  俺は今まで、好きになったのは女性だけだった。  だから、前までは単に親友としての好きだと思っていたんだ。  えっと、俺がこの気持ちに気付いたのは四人で飲みに行った時からか?  詳しくは自分でも分からない。  そういえば、残念イケメンとか勝手に言われて、会社に入ったときは不快にしか思っていなかったが、こうして考えると女性社員が残念イケメンとか言ってくれなかったら四人、(まあ、五人だな)で飲みに行く事も無かっただろうな。  おっと、ちょっと話が脱線したな、話を戻そう。  飲みに行ったとき……。  お前もおおよそ検討はついているだろう?   ああ、あの時だ。  あれから俺はお前を少し意識する様になった。  女々しいかもしれないが、数日は夜も眠れなかったくらいな。  そして、意識し始めて数日、お前を目で追っていると、あることに気付いた。  残念イケメンとか言われてたお前だが、実は他人を気遣える良い奴だって。  まあ、他にも理由はあるが、そこまで書くのは少し重いだろう。  お前が好きだと気付いてから、人生が楽しいというよりも、億劫に感じられた。  辛かったんだ。  何故、自分が男で生まれてきたのかって、毎日泣いた。  あ、念の為説明しておくと、心は男だからな。  そこは勘違いするなよ?   違う部署の女性社員がお前に話し掛ける度に、女に生まれてたらアタックできたんだろうなって。  彼女でも何でも無い奴に嫉妬してた。  俺、醜いよな。  もし、この状態がこれ以上続くなら、俺は耐えきれない。  これがお前に気持ちを伝えようとした理由だ。  なんかちょっと小っ恥ずかしいが。  重いと思ったらこの手紙、捨ててもいいからな。  ということで、これで俺の伝えたかった事は全部だ。  いきなりこんな事、男の俺から言われるとは思わなかったよな?   このことが悩みの種になったら本当にごめんな。  今まで仲良くしてくれてありがとな。  これからも精々生意気な友達として宜しく頼む。
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