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11.
シガーバーを出て、足早に向かったのはアレックスがよく使うホテル。街を一望出来る高層階の部屋だった。チェックインをする時間すらもどかしくて、カードキーで開錠して、部屋に入るなり抱き合って濃厚なキスをする。
「んぅ……ん」
壁に押し付けられ、お互いに相手の体を弄り合いながら服をたくし上げる。アレックスは俺の胸の突起を、俺はアレックスの下半身の膨らみに手をやる。キスは葉巻の香りがしていた。
「はあ……ッ、も、ベッド行こう?」
シャワーすら飛ばして俺らは絡みついたまま、ベッドに雪崩れ込み、さらに服を脱ぐ。顕になったお互いの下半身のそれは天井めがけて起立している。俺はすぐさまかがみ込んで、アレックスのそれを口に入れると、彼はうっ、と小さな呻きを発する。
もう我慢できなくて、舌で血管をなぞりキャンディのようにしゃぶっていく。先端を舌で突くとアレックスの体が揺れた。上目遣いに彼の顔を見ると眉間に皺を寄せ、なんとも言えない顔をしていてますます俺はアレックスを責めた。ジュルジュル、と音を鳴らしながらヌメヌメしたそれを口内で扱く。
「ああ……気持ち、いい……っ、どこでこんなに学んだの? 妬けるなぁ」
アレックスの声がうわずってきて、そろそろ、というころになったとき。彼にもういいよ、と言われ俺は口からそれを離す。
「このままイったら崇彦の中に入れなくなっちゃうよ」
「……アレックス、今日は俺に責めさせて?」
つまり俺が挿れる方になるのだ。もう何年もやってないけど…
「え……でも、崇彦はボトムなんでしょ?」
「だって俺も男だよ」
『ウイングスオーシャン』で体を重ねたとき、アレックスはいつものポジションではない方をやってくれた。
「同じポジションのふたりなんだから、譲り合いするのは、当たり前だろ」
それに、なんて言うか……。さっきのアレックスの顔を見ていたら、むくむくと『挿れたい』と思い始めた。きっと本能なんだろうな。
彼の後ろを指で解す。少し解したらもう入りそうなくらいだ。こんなに早く解れるものなのだろうか。まさか、誰かと……?
「柔らかいね」
俺はそう言うと、アレックスは苦笑いする。
「勘違いしなくていいよ。僕は自慰の時も後ろ、使うからさ」
なんだ、とホッとして俺はそこに自分のをぴたりと当てがう。ゆっくり、ゆっくりと挿れていく。
「う……ん……っ、ああ」
俺の下で、甘い吐息を出すアレックスの表情と、ナカの暖かさ、そして締め付けてくるその快楽に俺は今まで感じたことがないくらいの征服感に襲われた。これがトップの魅力なのか。俺はたまらなくなってきて、出し入れを早くすると彼は腰を揺らしながら俺の腕を掴む。
「ああ、そこ、イイ……あっ、んんっ」
「ここ感じるんだ……っ、じゃあ」
腰を持ち思い切り深く突くと、アレックスは顎を上げて大きくのけぞる。
「うぁ……っ!ああ!あ、あっ!」
パンパンと突く音と嬌声が部屋に響く。ああもう気持ち良すぎてイッてしまいそうだ。
「アレックスっ……、俺、もぅ……」
「んっ、あ、ああ….きて……ッ」
俺はアレックスにキスをしながら体重をかけて彼の中を深く突いて……
「ふ、ああああ!!」
身体中に走る衝撃とともに、アレックスの中に自分の精を放った。
「気持ちよかった……」
ベッドに仰向けになり、二人で息を切らしながら呟く。当分汗が止まらなかったが、やがてアレックスの手が俺の前髪に触れてきた。
「最高だったよ、ありがとう」
「俺の方こそ」
目が合い、軽いキスをするとアレックスは微笑み、汗ばんでいる俺の体を抱きしめた。
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