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「それは、もう僕の誘いに乗ってくれるっていう認識でいいのかな?」 その答えの代わりに、俺はアレックスの唇に自分の唇を重ねた。柔らかい感触を感じたあとにアレックスは微笑む。 「ミスター烏川、君の名前を教えてくれるかい?」 「う……んっ」 アレックスのキスはとても激しくて、それだけで体中が熱くなってきた。元々自分の好みの男なのもあるし、そんな男からの誘いを断れなくなった今。もう体を委ねて楽しむことを優先してしまえ、と俺もアレックスからのキスに情熱的に答えた。 ベッドの上で、お互いに裸になってキスを続ける。息苦しくなってきて思わず俺が口を離すとアレックスが少し笑う。 「ねえ、今更なんだけど、崇彦はどっち?」 ムードに欠けるセリフだけど、男同士でこの先に進む時に確認しないといけない重要なことだ。俺はネコの方。挿入をしたことはあるものの数回程度だ。アレックスは……こんなに誘いが上手いし、イケメンなんだし、強引なんだからタチで間違いないだろう。 「俺はボトム(ネコ)です」 すると俺の背中に回していたアレックスの腕が、一瞬力が入った。 「……」 アレックスは俺の方をじっと見る。その顔でなんとなく分かってしまった。 「あなたはトップ(タチ)では、ないんですね」 なんと両方ともがボトム(ネコ)なのだ。一瞬にしてさっきまでの甘い空気が消えてしまいそうになったが、彼はポツリと呟く。 「うん……でも僕は君と繋がりたい。全くトップをしたことがないわけではないし、それに」 突然アレックスが俺の耳に口を近づけて囁く。 「僕も男だから」 その言葉にゾクリとする。 本当にトップをしてないのだろうか。そんなことを思うほどに、アレックスのテクニックは悦ぶところのツボを心得ていた。 「んあっ、や……んんっ」 首筋も胸の突起も、そして下半身の膨らみも刺激されて敏感になった体。今は俺の後ろを指でいじっていて、長い指が俺のいいところをあっと言う間に当ててきた。 「ああっ!」 四つん這いの形になっている体を震わせると、アレックスは後ろから背中にキスしてくる。 「ここかな? 崇彦のいいところ」 久しぶりに触られて俺はもう声を出して頷くしかできない。しばらくすると、アレックスは指を抜き俺の体を背後から抱きしめる。 「ね、少し立って」 彼の言う通り立ち上がり、ベッドから降りて裸のまま二人でリビングを横断する。何故だろうか。それより早く挿れて欲しくて、さっきから後ろが疼いて仕方ない。 「ここに手をついて。僕が後ろから挿れていくから」 目の前にある大きな窓ガラス。『ウイングススイート』自慢の大海原を部屋から一望できる窓だ。窓の前にあるスツールに手を伸ばし、尻を突き出すような形になる。 海を見ながら、なんて。なんだそれと思った瞬間、後ろに擦り当てられているもの。それはきっとさっき見た彼の体には少し不釣り合いなくらいの大きさの彼自身だ。 いよいよ入っててくるのかと、生唾を飲み込むと後ろからその重量のあるモノが入ってきた。 「んん……っ、あ、んっ!でか…いぃ」 「ゆっくり挿れていくからね」 ズブズブと飲み込まれていくそれは、俺の中で熱さを増していく。ゆっくりとピストンを繰り返す頃には声を抑えることができなくなっていた。 「あんんっ、ん、んんっ!ああっ」 「は……、すごいな。吸い込まれていきそうだ…っ」 いやらしい音がスイートルームに響く。快楽の波に飲まれ、涙が自然に出て滲む視線の先に、真っ暗な海のうねりが見える。 ああ、もう今度から夜の海を見たら思い出してしまうな、今夜のことを。
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