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序〜のど自慢、大集合
ミィーンミンミン、ミン。
シャワシャワシャワシャワ。
じぃーじぃ、ジリジリジ。ジジジジ。
オーシンツクツク、オーシンツクツク。
カナカナカナカナカナ。
夏、真っ盛り。
暑い暑い夏の日差しを受けた木々の木陰で、セミたちが自慢の声を披露しています。
土から出てきて手に入れた自由。
セミたちは暑い夏を、命の限り満喫します。
おや?
何やら自己紹介が始まりましたよ。
「私の声は、暑さを和らげると言われるわ。
だから、毎日精一杯ハーモニーを届けるの」
トップバッター、嬉しそうに話すのは、透明な羽をもつヒグラシさん。
夕方や曇り空の日に喉の調子が上がるのか、静かな「カナカナ」と言う鳴き声は、夏の暑さを一時和らげてくれると評判です。
「僕らはここ数年、仲間が増えたんだ。だから西から上京してきたのさ」
明るく爽やかに話すのは、ヒグラシさんよりも、ずんぐりむっくりした体躯を持つクマゼミさん。
生粋の南方出身ですが、夏の暑さとともに、シャワシャワと言う波のような合唱が、万人に受けいれられるようになり、東京進出を果たしたようです。
今後も暑さと共に生活圏を拡げて行きます。ススム、クマゼミ。
「俺たち、昔からいる気の長いグループさ。湿度が高い暑い夏が好きでね、湿度が高い暑い夏は俺たちの定番だ」
硬派に話すのは、アブラゼミさん。
茶色い羽で一番人前への露出が高いのでは。
幹の下の方に止まって「ジリジリジリジリ」と鳴くので、夏休みの子どもたちに捕まえられる率No.1。
ひっくり返っているのを起して上げると、ジジジジとバタバタする率もNo.1。
何かと話題になるのは長らく親しまれている証でしょう。
「あたしたち、独特なリズムが特徴よ。人間たちにはよくモノマネされるけど、蝉界では誰にも真似できないの」
素敵なリズムが目立つよう、他のセミたちとは時期をちょっぴりずらします。
透明な羽に緑の肢体を持つツクツクボウシさん。
オーシーンツクツク、オーシンツクツク、オーシーンツクツク、フィーヨー、フィーヨー、フィーヨー、ジュー。
よく、モノマネされるけど、鳴き声を最後まで聞くと「その終わり方はなんだー!」と突っ込まれるのだとか。
軽妙なリズムずらしの名人です。
「夏が来た!やるぜ、オレはやるぜ。やるぜ!」
謎のテンションで盛り上がっているのは、ミンミン蝉さん。
うす緑の斑茶、透明な羽に茶色の線をもつミンミン蝉さんは、夏のシンボル。
ミーンミンミン、という太く通る声で、みんなを元気付けたいのだそう。
行け!ミンミン蝉。暑い夏は君にかかってる。
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