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それぞれの夏〜遁走曲(フーガ)「アブラゼミさんの場合」
「そこにとまってるぞ。そうっと網を被せろよ」
「うん、分かった!」
夏休みです。
まぁくんとふっくんは、虫取り網と虫かごを持って蝉取りに夢中です。
林や山に行かなくても、お庭や町、公園で捕まえられるのはアブラゼミ。
ジィージィ、ジィジィと鳴く、鳴き声から居場所を見つけて。
そっと網を被せるのですが、まだ上手に網が使えないまぁくんとふっくん。
大体逃げられちゃいます。
「うわっ。セミにおしっこかけられたぁ〜」
まぁくんとふっくんは、顔をゴシゴシ擦ります。
「でも、臭くないね。」
「セミは樹液しか飲んでないからな。ほぼ水なんだよ」
二人は次の蝉を探すため、鳴き声に耳を澄ませます。
木の周りを歩いていると、まぁくんが下に落ちているアブラゼミを見つけました。
「死んじゃったのかな。ちょっと可哀想。土に埋めてあげようか」
ふっくんがアブラゼミきそっと手を伸ばして起き上がらせた時です。
ジジジジジジ……
ブルブル身体を震わせて
空に飛び立って行きました。
ふっくんはビックリして、尻もちをついてます。
まぁくんは、そんなふっくんを見て、大笑いしています。
二人の楽しそうな笑い声が、アブラゼミさんまで届きました。
また、遊ぼうね。
アブラゼミさんは、二人におしっこを飛ばします。
きっと明日も二人は、アブラゼミを探しに、公園にやって来るのかな。
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