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1話完結 朝のひと時
「早くおいで。」
「ほらこっちだ!どした?寝ぼけてる?笑」
「こら!お前らまた遅刻か!」
「ちぇ〜。見つかったか。さーせん!!」
「なんだその口の聞き方は!お前は何度言ったらー」
「いやちょっと〜ー」
「おそよ〜。遅かったね!珍し!」
「そうよねぇ。どうしたのかしら?」
「ねね!昨日のエペの試合見た?」
「あれね!マジ最高だった!」
「わかる!あそこの場面でさ〜ー」
ーピピピピ ピピピピ
まだ眠い目を擦る。
ゆっくりと開くと白い天井。
窓から差し込む光。
スマホに溜まったメッセージ。
また朝が来た。今日が始まる。
夢から醒めれば現実。
はぁ、とため息が漏れる。
ずっと夢の中にいたかった。
楽しくて優しい人に囲まれた温かい世界だった。
あれが現実だったらどんなに良かったことか。
だけど今日も私は学校へ行って着実に大人に近づいていく。
将来のことなんて考えたくない。考えると苦しくなる。
学校も誰と結局1番仲がいいのかわからないまま日々を過ごしている。
中途半端に誰とも上手くやっているからこうなってしまう。
誰か一人を選べと言われて私を選ぶ人はいないだろう。
それを考えるとキリがなくなってしまうのでもう諦めた。
とりあえず切り抜ければいいだけ。
夢の中でも変わらないのかもしれない。
でも夢の中の方が幾分かはマシだと思った。
もう時間だ。
行かなければ。
ーガチャンー
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