12人が本棚に入れています
本棚に追加
外に出て私と佐藤が空を見上げて驚くと、妻は大笑いした。
夜空に花火が立て続けに打ち上げられている。
「びっくりした?」
「ああ」
「毎日佐藤くんから報告を聞いてたんだけどね。そろそろかなって思ってたんだ。花火師の友達に頼んでお願いしたの。夢、叶ったね。おめでとう!」
「昔から、君には驚かされてばっかりだ。……ありがとう。でも、これいくらかかってんだ?」
「今まで散々私にばっかり働かせていたくせに、お金の心配? いいじゃない、タイムマシンを完成できたんだから。いくらでも取り返せるでしょ。もし駄目でも、まあ何とかなるって」
「お、おう......」
「そうだ! さっそく明日、いろいろな時代へ行こうよ! 佐藤くんも連れてさ。私、休みだし。一人だけ仲間はずれにしないでよね」
「俺もいいんすか? やったー!」
佐藤が跳び跳ねてはしゃぐ。
「じゃあ、明日はまず、十五年前に行こう。君と出会った年だ」
私がそう言うと妻は恥ずかしそうに笑って、頷いた。
(了)
最初のコメントを投稿しよう!