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「あーーえっと……もしかしてキミ、俺の言った言葉、聞こえちゃってた?」
「アハハッ♪そりゃ聞こえてるよー♪あーんな大きな声で『俺は捨てれないんだよっ!』なんて叫んでたら♪」
翔の言葉を強調しながら、屈託ない笑みを浮かべる彼女。
むしろ、本当は聞かせたかったんじゃないの?ぐらいの言い方だ。
なので翔は、自分の情けなさがより一層際立った気がして、心の中で悶絶した。
───やっぱりかーー!まったく、なんつー日だ。神様、俺をイジメて楽しいっすか?
勝手に神様に文句を言う翔。
こんなん神様もいい迷惑だし、そんなん知ったこっちゃないだろうが、翔にとっては赤っ恥だ。
「ハァッ……キミみたいな女の子がいるのも気づかず叫んじゃうなんて、俺マジでもう、末期症状だな……」
あーもう終わったわという顔してボヤく翔に、彼女は可愛い顔を近づけたまま不思議そうな目で見つめてくる。
嫌みとかじゃなく、本当に分かんないって顔をしながら。
「えーーっ、末期症状?お兄さん、凄く元気そうだけど?」
「はっ?これのどこが元気そうなんだよ。俺は色々あって、今、凄ーーく落ち込んでるの」
「ふーん、そうなんだ?」
「いやむしろさ、俺のどこを見て元気に見えた訳?」
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