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くたっと肩を落として、やれやれのポーズを取った翔。
まあそんな事をしなくても、翔からは充分にくたびれているオーラが溢れているのだが。
そんな翔の目の前で、彼女は人差し指を自分の下唇に当て、斜め上に視線を向けながら軽く唸る。
「うーんとね……」
───ったく。可愛い子は、悩んでいても可愛いな。よれたジャケットを着て思い悩んでる俺の姿とは、大違いだわ。同じ人類とは思えない……宇宙人さん、人類の代表はこっちの子です。間違えないで下さいませ。
翔がそんな下らない事を考えていると、彼女は翔に向かってパッと明るい笑顔を向けた。
「そう!なんかね、戦ってボロボロなのに……今から、また戦おうとしてる感じがしたから♪」
「えっ?」
翔はハッとして、思わず大きく目を見開いた。
その言葉は、翔が心の中でいつも思っていた言葉の一つだったから。
日々、書けども書けども認められず、上手くいかない作家活動の中で、翔は常に戦っていた。
負けてたまるか。諦めてたまるかと。
それを、今出会ったばかりの彼女から言われ、翔はビックリしたけど嬉しかったのだ。
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