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「ハハッ……それなら確かに、元気に見えたかもな」
「でしょ?私の目は誤魔化せないよっ♪」
どんなもんだい、というような顔をしながら、エッヘンと胸を張る彼女。
翔は本当に嬉しかったけど、すぐに表情を元に戻して少し目を伏せた。
ドライなようだが、そんな風に言ってもらえても、結局現状は何も変わりはしないからだ。
自分の小説が売れていない事に、何の変りも無い。
「でも、落ち込んでるのは本当だ」
「ふーん、そうなんだ……ってかそう!さっき言ってたアレ、何を捨てれないの?」
───おーい、結局そこに戻るのかよ。
翔は参ったなという顔をしながら、再び片手で頭をクシャクシャっと掻いた。
何か頭が痒い人みたいだ。
「えっ?それ言わなきゃダメ?」
「そりゃダメでしょーここまで話したんだから♪」
「いや、でもまだキミとは出会ったばっかだし、別に俺とキミとは友達でもないし」
友達でもないから、そこまで話さない。
一見完璧な返しをした翔に、彼女はニコッと笑う。
その顔は確かに可愛い。
けどその笑顔はただ可愛いだけじゃなく、何か企んでる雰囲気が滲み出ていた。
「じゃーご飯奢って♪」
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