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斗真がウザったそうにボヤいていると、その出版社の編集長が血相を変えて飛んできた。
不摂生の身体にシワくちゃのシャツを身に纏った、いかにもという風貌の男だ。
彼は絵にかいたようなもみ手をしながら斗真にすり寄ると、斗真に真正面からバッと頭を下げた。
『日下部先生、申し訳ございません!』
『ハァッ……こんな人に持ち込みに来させるとか、ここも質が落ちたなー』
やれやれのポーズをしながら、斗真は話を続ける。
『なんかさ、急にこの人に襟首掴まれたんだけど……俺、何かしちゃいました?』
『いえいえ、私どもは何も存じませんでして……』
冷や汗をかきながら、しろもとどろの編集長。
斗真は彼に陰湿なニヤリとした笑みを向ける。
『だよねーーーでもさ……俺もう、ここで書く気が失せるかもしれないなーーー』
『そ、それだけは何卒ご勘弁を!』
『ど~しよっかなーー』
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