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翔は、こんな奴に負けている自分が、本当に悔しくて情けなかった。
でも、翔自身も分かってはいた。
作家の世界も、売れてるヤツこそが正義。
それがまかり通っている世界。
力の無い者は弱者であり悪なのだと。
何より、自分の小説は時代に合っていない事が。
───くそっ!分かってんだよ。そんな事は……
心の中で毒づく翔だが、翔には捨てられない夢があった。
それは、自分の小説で世の中に元気を取り戻す事だ!
毒にも薬にもならない小説やアニメや音楽が蔓延して、人の心が緩やかに腐っていってる今の世の中。
翔はそんな世の中を、変えたいと思っているのだ。
人々に感動を与え、現実と向き合う力を沸き出させる小説を、世の中に流行らせる事によって。
そう……かつて自分に、現実で戦う力を与えてくれた作品のように!
だからこそ翔は、どんなに認められなくても、自分の信念を曲げずに魂を込めて小説を書き続けた。
けれど、いくら書いても結果は全く出なかった。
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