9.常温超伝導とか・・・

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9.常温超伝導とか・・・

 世の中には、いつも勘違いな科学計画がある。  1940年代初頭から、ナチスドイツは原子炉建設計画をたてる。核連鎖反応に必要なウラン235は、天然ウランの中に微少しか存在しない。なので、未濃縮の天然ウランで低出力の原子炉を運転して、人工的に分裂性ウランを増やそうと考えた。爆発のための臨界量が分かってなかったから、地道な計画であった。うまくやれば、100年後くらいには原爆が作れたかも。あ・・・ちょうど、今くらいだね。  アメリカは力業を使い、大量の天然ウランを採掘、強引に分離濃縮した。先に原爆が完成した。  20世紀末、試験管の中で人工太陽を作った・・・常温常圧核融合が話題になる。  実態は、高性能の中性子検出器のせい。その装置を使えば、水道の水からも、テレビの画面からも、自発的核分裂や放射線誘導による中性子放射が検出できたのだ。それを、だれかが核融合と言い始めて、みながのっかってフィーバーした。  量子力学では、ミクロの空間では常に素粒子が対生成し、また対消滅している。検出器に大量の電力を投入して、感度を高めてやれば、ミクロの現象を見ることができる。  常温核融合はありえる。が、投入電力の数億分の1しか回収できない。所詮は暇人の趣味であった。  21世紀になり、高温超伝導が科学のテーマになった。絶対0度付近でして起きない電気抵抗0の現象を、もっと高い温度で実現しようと、科学者も技術者もがんばっている。  今年も、名誉欲にかられた科学者が、常温で超伝導になる物質を作った! ・・・と、発表した。空騒ぎで終わったようだ。
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